デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

ファイナル・プロジェクトにむけて

ファイナル・プロジェクトに向けて教授と相談する機会がありました。

ファイナル・プロジェクトとは日本でいう卒業研究のようなものでしょうか。これまでCIIDのプロジェクトは基本的にグループで取り組むものであって、一人で何かを行うという事はほぼありません。

ところがファイナル・プロジェクトでは、もちろん学生同士で助けあうことはあるのでしょうが、基本的には一人で取り組む事が求められます。一人で取り組むというのは、当たり前ですが、テーマを決めるところもそうですし、リサーチ活動を行う事もそう、そしてプロトタイピングまですべてを自分の力で行わなければならないと言うこと。

このブログで度々言及していますが、デザイナーには、そしてデザインプロジェクトには下記に述べた3つの要素が存在します。これまでは、それぞれのフェーズにおいて得意な人がプロジェクトを牽引するという事が出来たわけですが、ファイナル・プロジェクトではこれらすべてを自分でこなさなければならないという事でもあります。

ddcph.hatenablog.com

方向性を決めるためにまず教授から聞かれた事は、次のこと。

君の強みを活かして光り輝くものを作りたいか?それとも新しい領域にチャレンジしたいのか?

私は自分で言うのもあれですが、プロトタイピング、特にプログラミングが絡むようなプロトタイピングに関してはクラスでもダントツで、それは教授にも十分に評価されています。ですから、この強みを最大限に活かして他の人が作れないような素晴らしい作品を作る事が可能だと、教授陣は考えていらっしゃる様子。

一方で、プロトタイピング以前の段階、イノベーションのための機会探索であるとか、戦略策定等、君がこれまでにCIIDで学んだ事を活かして、あまり経験のない分野に挑戦してみてはどうだ。というコメントも頂きました。

デザインプロセスの中においてプロトタイピングの重要性は述べるまでもありませんが、卒業後のキャリア等を考えると、機会探索や戦略策定にチャレンジするのも自分自身の可能性を広げるという意味において大変意義のある事なのではないかとも思うのです。

また卒業後のキャリアについて教授と話をする機会もありました。他の一般の学生に取ってファイナル・プロジェクトというのは大変大きな意味を持ちます。なぜならば彼らはそれをポートフォリオに載せて就職活動をします。つまり、ファイナル・プロジェクトで失敗してしまうと、就職活動に支障を来す可能性があり、決して失敗出来ない一大プロジェクトなわけですね。

ところが私の場合、どこかのコンテストに出して輝かしい賞でも取るのであれば話は別だが、ファイナル・プロジェクトは私のキャリアの中でそこまで大きな意味を持たないだろう、と。私の場合はCIID以前にもそれなりにキャリアがありますし転職するにしたってファイナル・プロジェクトだけで君の評価が大きく変わるわけではない。もちろんだからと言って手をぬくわけでは無いのですが、せっかくの機会なのだから新しい事に挑戦したほうが多くのことを学べるはずだ、と。

と言うことで、機会探索、戦略策定を軸にファイナル・プロジェクトの方向性を考えてみようと思った次第です。