デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

動画作りでストーリーテリングを学ぶ

先週はIDEO TokyoからCo-DounderのMike氏とAmelia氏に来ていただき、Art & Science of Storytellingというタイトルで講義をしていただきました。内容としてはIDEOの紹介にはじまり、マーケティングリサーチとデザインリサーチの違いなどの説明、またインタビューの仕方であるとか、集めた情報からストーリーを組み立てる技術や、見せ方などに渡っていました。

以前も書いた通り、CIIDではLearning by Doingと言うコンセプトを掲げており、ほぼすべての授業がこの形に沿って進められます。今週はストーリーテリングに関する授業だという事もあって、ストーリーを作り、それを一人ひとり、クラス全員の前で発表するというイベントが行われました。とだけ書くとかなり漠然とした課題ではあるのですが、もう少し詳細に書くと下記のような物でした。

  1. 2人1組でペアを組む
  2. インタビューなどを通して自分のパートナーについて理解する
  3. 自分のパートナーにふさわしいスーパーパワーを考える
  4. 自分のパートナーをスーパーヒーローとして紹介する2分間から3分間のムービーとポスターを作る

2のインタビューに関しては教室でインタビューするグループも当然多く居ましたし、相手の部屋や、お気に入りの場所に行ったりだとか、趣味などの活動に同行させてもらったりと、各グループで様々な工夫を凝らしつつ、相手の理解につとめて居ました。

こうして集めた情報を自分なりに解釈して、その人のスーパーパワーを考えます。スーパーパワーって言っても、そんな突拍子の無い、すごいものである必要はなくて、例えば、趣味でDJ活動をしていて、ビジネスのバックグラウンドがある人だったとしたら、職場で音楽を流して雰囲気を作り上げて生産性をアップさせることができるとか、その程度でも全然良いわけです。

散歩が好きでボランティアが趣味な人は、困った人が居るところに歩いて行くだけで何故か問題が解決してしまうスーパーヒーローに仕立てあげられていたりしました。ピースウォーカーとかかっこいい名前をつけられていたものの、歩いて到着した頃には本人の知らないうちに問題が解決してしまっているなら、本人的には「歩き損やん!」とか思ったりしないのでしょうか。そんなこと突っ込むのは流石に野暮ってものでしょうか。

ところでスーパーヒーローとして紹介するからには、パートナーを出来るかぎり魅力的に見せる必要があるわけです。世の中のスーパーヒーロー達が魅力的なのは彼らがスーパーヒーローだからというのはもちろんあるのでしょうが、製作者の工夫によって、魅力的なように見せられているという事もあるんだと思います。リサーチ時に集めた情報を整理して、カテゴライズしたり、追加で情報を収集したりしつつ、どのようにすれば魅力的に映るかを考えながらストーリーを組み立てていきます。そして、組み立てたストーリーに沿って動画とポスターを作っていきます。

このようにして完成した動画をみんなで鑑賞し、それについてプレゼンしつつするわけです。自分が何故このような動画を作ったのか。何故このようなストーリーが良いと思ったのか、など。私のクラスは23名なので、私以外の22人分の動画を見ることになるわけですが、どの動画も大変な工夫が随所に見られて、あっという間の2時間でした。

ところで、今回はパートナーである生身の人間をベースに紹介すると言う課題でしたが、これは多分、今後の授業の基礎となる内容でもあるんだろうなと思いました。今後は、様々な手法であったり理論であったり領域に対してチャレンジして行くことになるわけです。これは授業の中でももちろんですし、社会に出てからも同様に、自分が取り組んだこと、自分が考えたこと、自分の成果を説明していかなければならないわけです。コースの初期にこういった講義を持って来たのは、そられを踏まえての事なのでしょうか。