People-Centered Designは、価値のある製品やサービスを生み出すための手法であってデザイナにとって非常に強力なツールであることはもちろんなのですが、実は新しいものを生み出す事に携わるすべての人に取って、価値のあるデザインプロセスなのではないかと思い始めています。
先週はそのPeople-Centered Designに関する授業を受けており、それに関していくつかの記事を書きました。それぞれとても長文になってしまいましたので、以下に、People-Centered Designの手順について簡単にまとめておけたらと思っています。
1.デザインのテーマを定める
今回の場合であれば、とあるスポーツ施設から依頼があったのでこれに関して選択の余地はありませんでしたが、実際のデザインプロセスの中では、特に自主プロジェクトでは、これも重要なプロセスになるはずです。
2.チームビルディングを行う
チームメンバーのスキルだとか、どのような分野に興味関心を持っているか、どういうことにチャレンジしたいか等を確認します。
3.Research Objectiveの設定
デザインテーマに関してどういった領域に興味を持っているかを書き出し、どの方向に向かってリサーチを行っていくかを決めていきます。Research Objectiveの設定については下記の記事で紹介しています。
4.デザインリサーチの計画を立てる
定めたResearch Objectiveを達成するためには、どういった種類のリサーチを行うべきなのか、などを検討し計画づくりを行います。
また、必要に応じてリサーチツールの準備等を行います。
5.デザインリサーチのリハーサルを行う
計画通りにリサーチを実行することが出来るか。作成したツールは想定どおりの働きをしてくれるか。そういった事を確認するためにもリハーサルは欠かせません。
6.デザインリサーチを行う
インタビューや、ワークショップなどがこれにあたります。イメージ容易だと思いますので、詳細な説明は割愛します。
7.デザインリサーチで得られたものを整理する
インタビューや、ワークショップなどを行ったあと、その内容を整理するとともに、インサイト(気がついた事、感じた事など)を書き出し共有します。
8.How Might We Questionを作成する
インサイトから、問題解決の方向性(How Might We Question)を作成します。
9.アイディア出しを行う
アイディア出しの方法は何でも良いけれど、ブレインストーミングがやはりメジャーなのではないかなと思う。ここで気を付けるのは、絵に書くと言う事と、質より量と言うこと。
10.コンセプト作成
出てきたアイディアを取捨選択したり組み合わせしたりしつつ面白そうなアイディアを幾つか選び、それぞれコンセプトを作成していきます。
おわりに
コンセプト作成の手順は上記の通りなのですが、これらのプロセスを通して大事な事は、Make it Visualということ。つまり、目に見えるようにしようぜってこと。デザインリサーチと言うと、とにかくインテリ的なものだと思われている気がします。もちろんそれは実際そういった面もあると思うのですが、最初から完璧な仕事をするなんて不可能なんだから、間違いを恐れる必要は全然無くて、とにかく積極的に小さくても、間違っててもいいからアウトプットを出し続けて行くことが大切なのだなぁと感じました。
また、最後に、すこしばかり感想を。
他の学生にとってどうかは知りませんが、People-Centered Designの授業は、私にとって、非常にキツイものではありました。
まず、私はエンジニアリングバックグラウンドで、社会科学などのバックグラウンドが全く無いと言うこと。エンジニアリングって、考えて見れば不思議なものなんですが、現実社会に対する問題のリサーチって殆どしないんですよね。卒業論文を書く際に、この研究は、こういった課題に対するものだと言う事は一応書くのですけれど、それが本当かどうか調べるような事をしている人は殆ど居ないような気がします。例えば、精度向上が求められているとか書いておきながら、それがどの程度必要なのかとか、実はあまり触れないんですよね。
そして、語学的な問題。少なくとも私以外の学生は、それなりにガンガン英語を話すわけです。インタビューの際にこれは非常につらくて、自分の英語に自信が無いから聞きたい事も聞けないし、そもそも相手の言っている事を半分も理解出来なかったりします。語学的なハンデと言うのは結構キツイなぁと改めて思った講義でした。
しかしながら、きつかったと言えばきつかったけれど授業の内容は非常に濃いものだったし、これを学べたことはおそらく将来、相当に役立つだろうなぁと感じています。