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デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学の日々について書いています

チームの強み弱みをどのタイミングで考慮するか

今週は、以前の記事にも書いたとおりPhysical Computingの授業を受けて居ます。

ddcph.hatenablog.com

各チームでアイディア出しを行ったあとは、それぞれアイディアを選び、実際にプロトタイプの開発に入っていきます。しかしながらここで疑問が沸き起こります。自分たちのチームの強み、弱みをどの段階で考慮するのか。私個人的には、大きく分けて3つのポイントがあるのかなと思うのです。

タイミング1:自分たちが実現可能なアイディアを出す

まず一つ目は、アイディア出しの段階で、自分たちの強み弱みを共有し、自分たちに出来る範囲でアイディアを出すと言うもの。昨日、アイディア出しの2つの方法について書きました。ここに、第3の制約を加える方法と言っても良いかも知れません。

ddcph.hatenablog.com

例えば、チームメンバーの構成的にWebだとかクラウドに強い人が集まっていれば、ハードウェアよりもソフト重視のアイディアにしようとか、そういった制約を付けるのはありかもしれません。良い例かはわかりませんが例えば、メンバーが日本人だけなのであれば、日本で受けそうなアイディアを出そうよとか。

ただし、注意しなければならない点として、条件が強すぎるとアイディア出しそのものを阻害することに成り得えません。

タイミング2:最終的なアイディアから自分たちに向いているモノを選ぶ

ふたつめの方法として、アイディアを100個なり200個なりだしたあとで、良さそうなものを数個ピックアップして、自分たちで訴求力の高いプロトタイピングが可能なアイディアはどれか?と言う観点から検討すると言う方法があり得るかと思うのです。

例えば、我々のチームでは、アイディア出しを行ったあと、最終的にふたつのアイディアが残りました。ひとつはニュースグローブと言って、地球儀をユーザインタフェースにしてニュースサーフィン出来るデバイスを作ろうと言うアイディア。もうひとつは、ユーザインタフェース自体は普通のスイッチなんだけれど、これをインターネットに接続して元栓にしてしまおうと言うアイディア。例えば、元栓が閉まっていると、インターネットで買い物が出来なかったり、ゲームが出来なかったりするわけです。Cerezoさんが出しているHackeyに少し近いアイディアかも知れません。

hackey.cerevo.com

で、どちらを作るか考えていたわけですが、これが結構揉めるわけです。ニュースグロープはどちらかと言うとアートっぽい作品だよね。一方で、スイッチはCritical Design的な作品何じゃないかなと言う感じで議論が行われて居ました。 結局のところ、ニュースグロープになったのですが、この理由として、チームの強みを活かせるからというものが大きかったように思います。スイッチは作るのは簡単だけれど、それを説明するにはおそらくビデオなりなんなりでコンテクストを説明する必要があるだろう、と。ビデオ無しでスイッチだけだと面白みにかける。説明するなら良いけど、展示だけする時にいまいち面白く無いとか、そういう理由も少なからずあったように思うのですが。

タイミング3:コンセプトを自分たちが可能な一番よい形で表現する

そして、最後の段階。あくまでもコンセプトの価値、将来性に重点を置いてコンセプトを選択し、自分たちに出来る、一番良い方法でコンセプトを説明する事。今回は、Physical Computingの講義なので、動くデモを作る事が求められて居ましたが、自分たちのチームの強みを発揮出来る方法がビデオプロトタイピングなのであれば、そちらにリソースを多く割いても良いはずです。社会科学が専門なのであれば、リサーチにリソースを割いて、アイディアの価値を高めるだとか裏付けを取るなど、そういったアプローチがあっても良いのだと思うのです。 

とにかく、それを見た人に、自分たちのアイディアを説明する。価値を感じてもらう。そうして周りを巻き込んでいく事が必要なのかな、と思うのです。

デザイナーの役割については、下記の記事で少し説明しましたが、ここでは2つ目の役割としてStorytellerをあげています。つまり、Storytellingもデザイナの重要な役割であり、能力であると。

ddcph.hatenablog.com

どれほど面白いと思うアイディアだったとしても、実行(Execute)されないアイディアに社会的な価値はありません。どのタイミングで考慮すべきかと言うことに関しては正直ケースバイケースじゃないの、としか言えない事もありますし、そもそも特定のプロセスだけでなくプロセス全体を通して考慮すべきであるとも言えなくないのですが、デザイン活動において最終的なゴールを見失わない事、自分たちが社会に対してどのような価値を提供出来るのかと言う視点を忘れないようにしたいなと思うのです。最高のアイディアを形にする事がもちろんベストではあるものですが、二番目、もしくは三番目に良いアイディアであっても、それを形にして社会に貢献出来るのであれば、それはそれで意味があることなのかなと。