デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

iPhoneにはなぜ「戻る」操作が無いのか

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iPhoneを購入してから約2日が経ちました。世間はiPhone 7の発表に湧いているようですが、購入したばかりのiPhoneを楽しく触っている私には関係の無い事です。

iPhone SEの新型が発表されたわけじゃないし、値段もそれなりに高いしと自分に言い聞かせています。

さてこれまでAndroidを使って居た私、iPhoneにまともに触るのは実に5年ぶりぐらいなんですね。さすがに2日も使っているとある程度慣れてきたとは言え、いまだに慣れないのが「戻る」と言う行為について。

Androidを触ったことが無い方はご存知無いかもしれませんが、Androidの場合、ホームボタンの左側に「戻る」ボタンがハードウェア的に用意されていて、それを押せば大抵のアプリでは前の画面に戻る事が出来るようになっています。

ところがiPhoneには「戻る」ボタンがないので、アプリ開発者が自分で「戻る」を実装しなければならないのですよね。しかしこの「戻る」の実装方法がアプリによって全然違う。例えば私がぱっと思うつくだけで、こんなにあるわけです。

  • 左上の戻るボタン(大きいサイズ)
  • 左上の戻るボタン(小さいサイズ)
  • 右上などに☓印
  • 画面を左から右にスワイプ

たかが4種類とは言え、どうやったら前の画面に戻れるかを都度自分で判断しなければならないわけです。一応、多くのアプリは画面を左から右にスワイプすることによる「戻る」操作に対応しているようですが、それでも全部が全部対応しているわけではなく…。そんなわけで、前の画面に戻りたくなったらとりあえず「戻る」ボタンを押せば良いAndroidと比較すると、結構な煩わしさだと思うんですよね。

で、ふと思ったのは、Androidに慣れたユーザと、iPhoneに慣れたユーザでは、下記のようなワークショップをやったとしても、アウトプットの方向性が違ってくるだろうな、と。

ddcph.hatenablog.com

上記で説明したのは「戻る」ボタンに就いてなのですが、他にも細かい部分で、iPhoneアプリのデザイン傾向とAndroidアプリのデザイン傾向って違う気がするんですよね。そういった自分の持っている当たり前が違うと、当然新しく何かを作る時にもその当たり前を無意識に適用してしまうはずです。

そして逆に言うと、iPhoneとAndroidにはそれぞれ異なる文化があって、アプリ開発者はそれに合わせてデザインすべきなんだろうなという事。当たり前と言ってしまえば当たり前なんでしょうが。

最近ではXamarinやUnityなどもそうですが、マルチデバイス対応の開発環境が普及してきて、複数のデバイス向けのアプリであっても比較的容易に開発が可能になってきています。しかしながらGUIに関してはiPhoneやAndroidと言ったそれぞれのデバイスに向けて作りこんで行くことが必要になるんだろうなぁと思った次第。

ポートフォリオについて

今週はポートフォリオウィークと言うことで、授業は無いのですが各学生に各自のポートフォリオを充実させるようにという指示が出されています。

ポートフォリオと言うのはCIIDのWeb上で公開されているものもあれば、各自が自身のWebサイトを持っている場合もあります。自分のこれまでの経験を見える形で外部に公開するというのは、デザイナとしては一般的なスタイルであり特別なことでは無く思います。

デザイナと言う職種が他の職種、例えば事務職であったり工場作業者などとは異なり、個人の名前で仕事をする事が珍しくないからと言う事もあるでしょう。また、デザイナと言う職種だけでは何が出来るのかが良くわからない程に、スキルや志向の幅が広いからというのもあるでしょう。

スキルの違いと言うのはある意味わかりやすいのですが、センスやテクニックに関してはポートフォリオが語る事は多くあるのかなと思います。例えば、グラフィックデザイナですと名乗る人が何人か居たとして、彼らに同様のブリーフを渡して仕事を依頼しても、それぞれのデザイナのアウトプットが全然異なると言うのはよくある話ではないかと思います。

これが例えば工場で働いている職人さんに設計図を渡して「こういうものを作ってください」と依頼して出てくるものが職人さんによって全然違ったら問題ですし、経理の仕事をお願いしたのに担当する人によって計算結果が違ったら何を信じて良いのかわかりません。

このように、アウトプットのバラつきが大きいのは、逆に言えば依頼したい仕事の内容を明確に定義する事が難しいからと言う事も出来ますし、裁量の余地が大きいからと考える事も出来ます。そして仕事を依頼する側としても、仕事を明確に定義しない事による振れ幅の大きさをデザイナに期待している一面があるような気もします。

例えば、システム開発の案件を依頼しようと思った際に、いきなり実際の開発に入るのではなく、まずはコンサルティングのような契約を行い、仕様策定を行う事があるかと思います。

しかしながらデザインの場合、仕様策定しようにも難しいですから、デザイナーがコンサルティングの部分も含めてやる事が多くなるのかと思います。そうすると発注者としてはそのデザイナの過去の仕事を見た上で、どのデザイナに発注すべきかを考える事になるでしょう。そういった際にポートフォリオと言うものが生きてくるわけです。

これは例えばフリーランスのような形で仕事を受けるときだけでなく、就職活動などを行う時でも同様で、その人がどのような仕事が出来るのかを推し量る上で、ポートフォリオが非常に重要になってくるのだと思います。

私の場合は、これまでの経験もそれなりにありますから、この1年間で取り組んだプロジェクトの内容によって今後のキャリアが大きく変わると言う事も無いとは思うのですが、この機会を利用して自分のWebサイトのブラッシュアップなども含めて、諸々取り組んで見ようかなと思う次第です。

デンマークでiPhoneを買った

iPhone

これまでNexus 5Xを使って居たのですが、Android 7.0にアップデートしたところ、ひたすら再起動を繰り返すようになってしまいました。

デジタルデバイスから解放された生活もたまには良いかも等と思っていたりもしたのですが、さすがに外出中に友人と連絡を取れないのも不便きまわりない、と言うことで、代わりの携帯電話を購入してしまいました。

購入したのはiphone SEの16GBモデル。当然ながらSIMロックフリーです。当初は、これまで使ってきたAndroidをまた使い続けようかと思ったのだけれど、iPhoneは3GS以来使ってないし、ここらへんでもう一度iPhoneを使って見るのも良いかなと思ったのです。

さて、買うにしてもどこで買うのが良いのか。Googleで色々検索してみると、powerという電気屋さんのサイトで2990DKK(約45000円)となっており、これが一番安いようだったので、ここで購入することに。

www.power.dk

お店に行って店員さんに確認を行ったところ、ここに置いてあるのは基本的にSIMロックはかかっておらず、ヨーロッパの他の国に行っても対応するSIMカードを挿せば使えるよとのこと。これは多分日本でも同様で、帰国後、適当なSIMカードを挿せば使えるはずです。

で、これを下さいと言うと、アクセサリはいるか?ということを確認されたので、その辺にあった安いケースと画面保護用のスクリーンを購入。スクリーンをiPhoneに貼る代行サービスを99DKK(1500円程度)でやっているようですが、それぐらい自分でも出来るだろう、と思ったので自分でやることにして断ってしまいました。

久々のiPhone、昔使っていた時と大分勝手が変わっていて戸惑うこと多いですが、早く慣れられると良いな。

CIID10 Lightning talk

Lightning

CIID10 3日目、4日目はひたすらアンカンファレンス形式でライトニングトークが行われていました。

アンカンファレンスと言う形式は、日本でもチラホラ見かけるようですが海外では結構多いようでして、自分が話したいことをみんなの前でひたすら話すると言う形式。制限時間は7分間でしたので、そこまで多くの事を話出来るわけでも無いのですが、みな思い思いの事を発表して居て面白かったです。

アンカンファレンスと言うとどうしても、ちゃんとした格式張ったカンファレンスに比べて格下なのかなと言う印象もなくは無いのですが、Arduino創設者のマッシモバンジ氏を始めとして、結構な大御所も普通に発表したりして、こういう文化なのかなぁとか思ったりもしました。

CIID 10 Impact Minds

下記の記事ではCIIDのオープンハウスについて紹介しました。

ddcph.hatenablog.com

ddcph.hatenablog.com

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実はこのオープンハウスはCIID10と呼ばれる創立10周年記念イベントの一環であって、CIID10では他にも様々なイベントが企画されていました。

そのひとつが掲題のImpact Mindsと呼ばれるカンファレンス。コペンハーゲンのUN Cityで行われおり、参加者はおおよそ300名程度と言ったところでしょうか。CIID関係者はもちろん、Novoなどスポンサー企業からも多くの方が参加しており大変な盛り上がりを見せていました。

 

CIIDオープンハウス@リサーチおよびコンサルティング部門

さて、お次はリサーチ部門です。CIIDのリサーチ部門は、実は私もほとんど接点がないので、どんなことをやっているのかよくわかっていないんですよね。とはいえ、CIIDはとても小さな組織ですし、キッチンなどは共用ですからリサーチ部門の人の顔を見れば挨拶もします。名前と顔が一致しない人が多い事も確かなのですが、どんな人がそこにいるかという意味では、なんとなくわかっているという関係。全然知らないわけでもないけれど、よく知っているわけでも無いという中ぐらいの距離感です。

上記はオープンハウス当日にリサーチ部門の前に掲げてあったポスターなのですが、これ読んでも具体的に何をやっているのかはわかりませんね。書いてある事はわかるものの、コンサルティング部門と何が違うのかよくわからないし。と言うことで下記に示す、コンサルティング部門のポスターを見ながら読み解いて行こうかと思います。

コンサルテイング部門の内容は非常にわかりやすくて、簡単に言ってしまえば企業がイノベーションを起こすお手伝いをしますという事なのですよね。つまり逆に言えばリサーチ部門ではそれ以外のこと。もっと本質的な事であったりだとか、デザインプロセスそのものの研究をしているという事なのかなと言う感じ。

ちなみにコンサルティング部門のオープンハウスは大変面白くて、1日書けてオポチュニティの抽出からソリューションの提案までをみんなの前まで行うと言うデモンストレーションを行っておりました。こういう形で仕事を見せるってのは非常に面白いなぁと思ったり。

 

CIIDオープンハウス@インキュベーション部門

CIIDには教育部門の他に、リサーチやコンサルティング、インキュベーションなど、様々な部門があります。今回のオープンハウスでは各部門それぞれで展示が行われていましたので、それぞれ簡単に紹介しようかと思います。

まずはNESTと呼ばれるインキュベーション部門。最近流行りの言葉で言うならアクセラレータと言った方が良いでしょうか。

このインキュベーション部門、名前はNESTと言い、CIIDの持つデザインプロセスを新規事業創出に対して適用する事によってイノベーションの創出を目指して居ます。

アクセラレータというとYコンビネータなども有名ですが、NESTに関してはもっとアイディアに近い段階からサポートをしているのが特徴といえば特徴でしょうか。CIIDの持つデザインプロセス、People Centered Researchが人々からインサイトを得てイノベーション機会を探索することにフォーカスしているからといってしまえばそれまでなのでしょうが。

上記のロゴが示している通り、プロジェクト終了したものもありますが20社近い会社をホストしてきており、今後の展開が大いに楽しみな部門でもあります。

彼らのオープンハウスは想像どおりと言ってしまえばそれまでなのですが、各社の事業説明会と言った様子。実際にプロダクトを作っている人たちと気軽にディスカッションも出来るようになっているので、それぞれの企業ブースで熱い議論がなされていたようにも思います。