デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

一人で取り組むプロジェクトで意識すべきこと

先週はPhysical Computingに関しての授業を受けていました。

ddcph.hatenablog.com

上記にも書いた通り、これまでは主にチームでのプロジェクトに取り組んで来たのですが、ここに来て一人でのプロジェクトに取り組むこととなったわけです。一人で取り組むプロジェクトとチームで取り組みプロジェクトに関してはいくつかの違いがあると思うのですが、それぞれちょっと書き出して見ることにしました。

プロセスがおろそかになりがち

チームで作業をする時には「自分たちが今何をしているのか」「自分たちは次に何をする必要があるのか」「自分たちはどこを目指しているのか」を常に共有する必要があります。

例えば「これからアイディア出しをしましょう」から始まって「アイディアがたくさん出たから選ぼうか」とか「設計を始めましょう」など言葉であったり場合によっては雰囲気かも知れませんが、それぞれのフェーズとフェーズの間に明確な区切りがあります。そしてそれぞれのフェーズではそれぞれのフェーズですべきことに集中して、複数のフェーズを一度に行うと言う事は基本的にありません。

また、各フェーズですべきことと、その目的が予め共有されているように思います。例えば、アイディアを選ぶためにはまずたくさんアイディアを出す必要があるからブレインストーミングしましょうとか、問題解決の機会を見つけるために外に出てリサーチしましょうとか。

こういった情報が予め共有されていないと、プロセスの各フェーズで自分が果たすべき役割について不十分であり各個人がチームに対して十分に貢献出来ないと言う事もありますし、そもそもチームメンバーがバラバラなことを考えていると、プロジェクトが迷走してしまうリスクもあるはずです。つまり言ってしまえば、チームでの作業にはプロセスの共有が必要だとも言えるかも知れません。

では、一人で作業するときはどうでしょうか。

これは人によって違うかもしれませんが、私の場合、プロセスをほとんど意識しなかったなと思います。なんとなくアイディア出しをして、なんとなく作り初めて、作ってる最中にまたなんとなくアイディア出しをしたりと、作る前にアイディア出しをするのは当然だとしても、その後、アイディア出しのフェーズと実装のフェーズには明確な境界が無く、行ったり来たりを繰り返したりしていました。これは方向修正が容易であり、より良いアイディアがあとからやってきても即時かつ容易に対応出来ると言う点でメリットでもありますが、手戻りが多くなると言うデメリットもある気がするので、トータルで見てどちらが効率的かは判断が難しいところだと思います。

また、一人で作業をするときには、複数のフェーズを同時に行う事も出来ると言う事ですが、必要なステップをすっ飛ばしてしまう事もあるかも知れません。例えば、チームでの作業の際には各フェーズ間の区切りが明確だったので、ドキュメンテーションを滞り無く行う事ができたのですが、区切りが明確で無いためドキュメンテーションに関しては疎かになってしまいがちです。また、ブレインストーミングなどという形式張ったアイディア出しを行う事も無く、なんとなく思いついたアイディアで作業を初めてしまっており、一人でやる場合に適したアイディア出しの方法を何か考える必要が有るのではないかと感じました。

全部一人でやる必要がある

当たり前の話ではあるのですが、一人で作業するときには、得意な事も苦手な事も全部自分ひとりでやる必要があります。チームで作業をする際にはチームの中で各作業が得意なメンバーが得意な作業を担当する事が出来ますが、一人での作業なのでそういった事は出来ません。

例えば私の場合、ソフトウェアを書くのは得意だけれど、レーザーカッターで構造を作ったいするのは苦手ですし、動画編集やグラフィック等に至っては初心者と言っても良いようなレベルです。

しかしながら私自身の実感として、自分でやらなければならないので、学習効果と言う面では効果が大きいのではと思っています。例えば今回のプロジェクトで私は初めてレーザーカッターでちゃんとした構造を作成したのですが、構造作成に関して様々な有用な事を学ぶ事が出来たと思っています。まさにlearning by doingと言えるかもしれませんが。

また、全部自分ひとりでやるデメリットとしては、それが最適なアプローチでない場合も多くなるという事も挙げられるのではないかと思います。それも、故意に最適で無い可能性の高いアプローチ を選ぶ可能性が。簡単な例ですと、私の場合、ソフトウェアが得意で、電気回路はそこそこ、メカは初心者です。こうなると、少し複雑な挙動をさせたいと思った時、それをメカや電気回路ではなく、ソフトウェアで解決しようと考えるはずです。仮にメカ的な機構で簡単に解決出来る課題だったとしても。こういった時に、もっとも、これはチームで作業する際であってもメンバー構成によっては十分にあり得る話ではあるのですが。

チーム同士のコラボレーションが生まれやすくなる

一人で作業するときには客観的な目が無いため、自分のアイディアの良し悪しを自分で判断する必要があります。自分の直感を信じるのも良いのですが、他の人たちに自分のアイディアを披露して、レビューを仰ぐと言うのも重要ななのではないかと感じました。

また自分が作ろうとしているものだけではなく、自分が取ろうとしているアプローチに関しても同じような事が言えると思います。もしかすると他の人はもっと良いやり方を知っているかもしれませんし、困っている場所があれば助けてくれるかも知れません。

これらのことに関しては「お互い様」でもあるので、自分から積極的に他の人に話しかけに行ったりだとか、困ってそうな人がいたら話しかけながら歩くというのも重要なのかなと思っています。そしてそのためには、自分がこういうことが得意で、こういうことが出来るんだというのを普段からアピールしておくのがそこそこ大事なのかなとも思うのです。

まとめ

以上、一人プロジェクトと、チームプロジェクトの違いについて書いてみましたが、こうして書いてみると一人プロジェクトをもっと効率よく行うための方法が見えてくる気がします。それはつまり下記のような事なのかな、と。

  • プロセスを意識することで生産性と創造性を高める
  • プロジェクトの中でチャレンジを行うことで、新たな学びを得る
  • 他のチームと積極的に交流することで、作業効率とクオリティを高める

もちろん、これらが絶対であるとは限らないのですが、次のプロジェクトでは意識してみたいと考えて居ます。