デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

Assumption Mappingの具体的な作り方について

下記のようにAssumption Mapingについて書きました。しかしながら、仮説を作る対象を企業のキャッチフレーズとしたのが、あまり良い例ではなかったかなと思ったので、少し補足します。

ddcph.hatenablog.com

実際には、こういったコーポレートアイデンティと言うよりも、ミッションをもとに仮説を作ります。

例えば私達のクライアントであるコペンハーゲンの図書館のミッションはGetting Smarter Togetherです。直訳すれば「一緒に賢くなる」あたりでしょうか。図書館と言う施設を思い浮かべた時、一番に思い浮かぶものは本棚かと思います。実際にコペンハーゲンの図書館にも多くの本棚があって、市民は自由に本を読んだり借りたりする事が出来るようになっています。

だけど、図書館に本がたくさんあるなんていうことは、言ってみれば当たり前です。これらのリソースを活かして、市民にどうやって貢献していくかと言う点を検討した結果がGetting Smarter Togetherであって、市民に知識を提供して一緒にSmartになる事が図書館のミッションだと彼らは定義したのかなと思います。

さて、ここまでが前提。

プロジェクトの詳細なブリーフを頂く前に、Getting Smarter Togetherから連想するものを書き出して置くわけです。いったんプロジェクトを初めてしまうと、クライアントの取り組みに関する情報を色々と聞くことになります。そういった情報を聞く前に、イメージだけではありますが、こういった取り組みが出来るんじゃない、こういう取り組みをやっているんじゃないかと言うのををリストアップしておく事で、自分たちの持っているイメージと、クライアントの実態がどの程度かけ離れているか等を知る事も出来て、後々のリサーチをスムーズにすすめる事ができます。

デザインの仕事をする上で、バイアスをどう扱うかについては以前も少し触れましたが、いかにしてバイアスをコントロールするかと言う観点からもAssumption Mappingが有用に働くのではないかと思います。

ちなみに、他のクライアントを想定した場合にどうなるかを勝手に空想してみるとこんな感じでしょうか。

例えば、Googleから新サービスのデザインプロジェクトを受けることになったとしましょう。Googleのミッションはこんな感じですよね。

Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。

おそらく実際に仕事を受けるとしたら、先方の担当者からプロジェクトの期間だとか狙いだとか、諸々の話を聞く機会があると思うのですが、その前にAssumption Mappingを行うわけです。世界中の情報を整理するってどういうことだろうとか、世界中の人々がアクセス出来るってどういう状態を言うのだろうと。

さらに他の例を考えて見ましょう。デザイナの仕事領域は新商品開発に留まりません。例えば、会社の中途入社社員のリクルーティング活動のデザインと言うのもあり得ます。

そういったデザイン業務を受けた場合もやはり同様で、実際にその会社がどういった取り組みをしているかなどを調べる前にAssumption Mappingを行います。なお、調べる前にと書きましたが、その会社の事業内容であったり強みであったりはある程度調べる事が必要になるのかなと思います。もちろんそういった事を抜きにしてAssumption Mappingを行う事も可能なのでしょうが、その場合はどこの企業を対象としてもアウトプットが出てくるはずで、あまり意味の無いものとなってしまう可能性が高いのではないかと思います。