デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

Research ObjectiveとResearch Guideについて検討する

まずResearch ObjectiveとResearch Guideを検討することになったわけですが、それについて少し整理の意味も込めて記述しようかと思います。

結論から述べてしまうとResearch Objectiveに関しては、 下記のように設定しました。

写真の撮影、整理、活用に関して、人々がどのようにしているのか、また彼らがその中でどこに価値を見出しているかを理解する。

最初は、人々がどのように写真と付き合っているかだけを知るだけでも良いかなと思ったのですが、単純にプロセスだけでなく、各プロセスにおけるユーザの感情と言うか、価値感というのも合わせて探った方が、今後の機会創出などに取り組む際に有意義であろうと考えたため、後半部分を付け足しました。

Reseach Objectiveを設定したら次はResearch Guideの検討に入ります。Reseachの手法と言ってもいろいろあるのですが、今回はとりあえず基本でもあるインタビューを行うことにし、インタビューの内容を検討します。

社会学などを学んでいる人に取っては当たり前の事だとは思うのですが、インタビューと言ってもとりあえずその辺の誰かに思いつくままに話を聞けばいいというものではありません。あらかじめ、どのような事について聞くのか、どのような感じで進めていくのか、どのような情報が欲しいのかについて整理しておく必要があります。

インタビューの構成としては下記の記事でも触れていますので、興味のある方は読んでいただければと思うのですが、今回は、全体の構成というよりも、質問の中身についてちょっと書いてみようかなと思います。

ddcph.hatenablog.com

インタビューの内容を考える際には、冒頭で述べたResearch Objectiveをいかに達成するかを考慮することが大切です。ですので、写真をどのように撮影、整理、活用しているかという現状をまず把握するというのは重要かなと思い、この点についてヒアリングを行うこととしました。

ところでインタビューの構成には2種類あり、自分が行おうと思っているインタビューがそのどちらであるかを意識する必要があるということがあります。

ひとつは、広いトピックから入って、より具体的な詳細についてヒアリングを行っていく構成。たとえば、どういう風に写真を撮影しているのか?という質問に対してiPhoneで特定のアプリケーションを使用しているという回答が帰ってきたとすると、どういうアプリケーションなのか、どのようなシーンで、どの程度の頻度でそれを使うのか、そのアプリを使い始めたきっかけは何かなど、どんどん具体的に聞いていくスタイルですね。

もうひとつは、同じトピックなのだけれど、別のアングルから質問をしていくスタイル。たとえば、どのように撮影をして、どのように写真を整理して、どのように使っていますかと聞いた後に、いくつかの写真の活用例を見せて、例えばフォトブックを作ろうとする場合、どのように写真を撮影しますかと聞く、などは一つの例かもしれません。

インタビューは時間の都合上大きめのトピックを2つか、少し小さめのトピックで3つぐらいのセクションで構成するのが良いとされています。私の場合1つめのトピックで、ユーザの実態について把握して、2つ目および3つ目のトピックでユーザの価値観について把握出来るような内容としてResearch Guideを作成してアドバイザに相談に行きました。

それに対して帰ってきたコメントがこのような感じ。

まず、インタビューを行う際には、可能であればモノを見せてもらうと良いよという事。例えば、写真に関するインタビューでアプリの話になったならば、どんなアプリなのかを見せてもらったりだとか、Google Photoに写真を全部アップロードしていると言うことであれば、Google Photoにストックされた画像を少し見せてもらったりだとか、そうすることによって、よりユーザの事を理解出来るよという事。

さらに、撮影した画像の活用方法に関してにインタビューで、ユーザがイメージし易いように、幾つかのソリューションをサンプルとして提示しようとしました、例えば下記のような幾つかの画像を。

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ところ、教授いわく、これはただのソリューションだから、インタビューが盛り上がらないのではないか、と。では、どうすればよいかというと、もっと抽象的な画像を使ったほうが良いのではないかということ。例えば、下記のような画像群を見せて、撮影した写真の使い方として、あなたが連想できそうな画像はどれですか?と聞くわけですね。

そうすると例えばリビングで家族で団欒するときにという回答が帰って来るかもしれませんし、本棚に保管しておくとか、プレゼントに使うとかそういう回答が帰って来るかも知れません。

これが何故有用かというと、上記のような画像軍だと、ソリューションとしての好みに関する話題に終始してしまいがちだけれど、下記のような画像軍であれば、もっと深い部分、例えば画像を活用するモチベーション等を聞くことも出来るだろうから、と言うことなのですね。こういったアドバイスは、さすがに多くのリサーチ経験がある人だけあって、大変に有り難いなと感じるところであります。

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ただし、アドバイザーいわく、せっかくの経験を得られる機会なのだから、インタビュー対象者によって二種類を使い分けてみるのも良いのではというコメントも合わせて頂きました。確かに、トライアンドエラーを思う存分出来る環境ではあるので、色々と試行錯誤してみるのも良いかも知れません。