デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

アイディアをコンセプトに昇華させる

前回、インタビューを可視化して、そこからインサイトを抽出し、そこから問題解決の方向性を設定する手順について紹介しました。

ddcph.hatenablog.com

今回は、そのオポチュニティに対してアイディア出しを行い、ソリューションとしてまとめて提案するところまでを紹介したいと思います。

ブレインストーミング

まず、HMWに対してブレインストーミングを行います。ブレインストーミング自体は、日本でも一般的に行われていると思いますが、実はブレインストーミングと言っても色々な方法があるんですよね。

今回、我々が行ったブレインストーミングは、下記のような感じ。

  • ランダムな4人または5人で1チーム(HMWを作成したチームとは別)
  • チームのうち1人がファシリテータとなる
  • そのファシリテータが作成したHMWに対してアイディアを出す
  • 1セッションの時間は25
  • アイディアは絵に書く(文字で補足するのはOK)
  • アイディアにタイトルをつける
  • ポストイットに書いたらチームの前で発表する
  • 奇抜なアイディア歓迎
  • 他人のアイディアの批判はしない
  • 他人のアイディアに乗っかりは歓迎
  • チームで複数の会話は禁止
  • 量より質
  • チームメンバーを入れ替えて何度か行う

あえてデザインスクールっぽいところと言えば、アイディアを絵に書くところでしょうか。それ以外は結構普通ですね。また、問題を設定(HMWの作成)をしたチームでそれに対するアイディア出しをするのでは無く、問題設定に関わっていない人たちがアイディア出しを行う、と言うのも面白い点かも知れません。もっとも、ファシリテータとしてHMW作成者もアイディア出しに参加するので、自分のアイディアを入れる事はもちろん出来るのですが。

このようにして、アイディア出しをすることで、自分たちが想像して居なかったような方向からのアイディアが出てくる事もありますし、新しい方向性のヒントを得る事が出来るように思います。一般的には、問題定義者と、それに対するアイディアを出す人が同一であることが多いと思うのですが、あえて色々な人に協力してもらってアイディアを膨らませること、余裕があればやってみる価値はあるなぁと思った次第です。 

アイディア選び

アイディエーションのプロセスが終わりましたが目の前には多くのアイディアがあるので、それを絞り込むところからやらねばなりません。

まずは、グルーピングを行い、どのようなアイディアが出ているのかを確認します。そこから、複数のアイディアをまとめたり、またはもっと良いアイディアがあると思えば追加していきます。その後、クライテリアを用いたり、もしくは直感などで選んでも良いと思います。

今回の授業では、各チーム3つのコンセプトを提案しなさいと言う事だったので、我々も3種類の異なるアイディアを選びました。

コンセプト作成

アイディアを選んだ後は、コンセプトとしてまとめる必要があります。世の中的にはリーンキャンバスやビジネスモデルキャンバスなどがよく使われているように思いますが、授業の中ではそういったものは使いません。

コンセプトの必要なものは居たってシンプルで、コンセプトの説明、ターゲットユーザ、ユーザの価値、サービス提供者の役割、ユーザのシナリオです。また、状況に応じて、そのコンセプトの立ち位置、例えば個々のユーザに向けたものなのか、集団に向けたものなのか、改善なのか革新なのか、何かに依存したものなのか、広く他にも応用出来るものなのか等のマッピングも行います。

ちなみに我々の場合、最初にコンセプトの説明をガッチリ作ってから、ターゲットユーザ、価値などを考えていたのですが、もっとゆるく全体を作ってからブラッシュアップしていくべきだったと思っています。最初に説明やターゲットユーザーを決めてしまうと、シナリオが若干不自然なものになってしまう場合があるし、かと言ってシナリオを最初に作ってしまうと、それで価値はなんなの?と言うことになりかねません。

なので、以前からこのブログで主張しているように、簡単なものを時間をかけずに手早く作って全体としての体裁を整えてから、クオリティを上げていくと言うのが正解なのだろうなぁと改めて感じました。

以上、リサーチからコンセプト作成までを行いました。今回の授業では、コンセプトの作成までをゴールとしているため、この後プロトタイピングを行って云々と言うのはありませんが、来週からはまたプロトタイピングに関わる部分も授業で入って来るようです。この辺りの授業の構成の順番というかバランスが上手くできているなぁと思ったりもしました。