昨日は、デザインリサーチの計画について下記のような記事を書きました。そしてやはり基本であるインタビューについて計画の建て方について説明しかけたのですが、肝心のツールについて説明出来ていませんでしたので、この記事で説明する事ができればと思っています。
インタビューを行う際に、手ぶらで行って聞きたい事を聞いてくるでも良いとは思うのですが、ツールを使う事で、短い時間でより深く対象を理解する事ができますし、情報の整理、検討が容易になります。また、インタビュー中に対象者に作業を行って頂く事によって、インタビュアーへの注意を軽減させリラックスさせる効果もあるようです。
では具体的なツールとしてどのようなものがあるか。講義の中で紹介されたものの中から幾つか紹介します。
- Experience mapping
- Emotional Seismograph
- Relationship Mapping
- Card Sorting
- Geo Mapping
- Co-Creation
まず、Experience Mappingについて。これは特定の行動を行う際の、行動について図示して頂くものです。例えばスポーツ施設に行く時、行く前にどういったことをするか、その時にどういうことを考え、感じるか、などを図に示してもらいます。なお、特定の行動についてのマッピングを依頼する場合もあれば、似たようなシートを用いて一日の行動をマッピングする場合もあります。
次にEmotional Seismographは、感情の変化を図示してもらうものです。なんらかの行動を行う際には、楽しい時もあればあまり楽しくない時というのもあります。楽しい時であっても、とても楽しい時と少し楽しい時があるかもしれません。そしてそれは時系列によって変化することが一般的です。例えば私の場合、登山が趣味ですが、登山時に山まで移動するときというのは楽しみではあるものの若干退屈でもあります。そして山に登っている最中、これはもちろん楽しいです。しかしながら1番楽しいときというのは頂上に到達した時でしょうか。そこから麓におりてきて家に帰る。しかしながらこのあと、登山に使用した道具を清掃しなければなりません。これは正直なところあまり楽しくないし、むしろ非常にめんどくさい。こうした気持ちの変化を可視化するものがEmotional Seismographとなります。
Relational Mappingは関係性をイラストに示すものです。例えば普段の生活の中で親しい人と親しくない人があると思います。自分に親しい者ほど中心に親しくない者ほど中心から離れたところにマッピングします。例えば、ファイナンスサービスに関してのリサーチを行うことを想定しましょう。われわれはほぼ毎日クレジットカードを使って生活しています。電車に乗る際にSuicaを使用することもあるでしょう。しかしながら銀行のオンラインバンキングサービスを使用する機会というのは、多くの人はあまりではないでしょうか。月に数回、もしくは人によってはそれ以下かもしれません。もっと頻度が低いものといえば銀行の窓口に行くことでしょうか。人によっては年に1度も行かないという場合もあるかもしれません。これらファイナンスに関連する各種サービスと自分との関係を可視化するのがRelational Mappingです。なお、上記では、親しさや、頻度を例に説明しましたが、これらに限らない事は述べるまでもありません。
Card Sortingは複数枚の写真だとか、イラストだとかをインタビューの場に持って行き、優先度の高い順であったり、自分と関係のある順序、好みの順序などに並び替えてもらうものです。カードのような実際に目に見える物を並べ変えることによって自分が何に重きを置いているのかを容易に可視化することができます。
Geo Mappingは地図などに自分の行動であったり思いを書き加えたりすることによって、位置に関係する情報を可視化する手法です。また、Co-Creationは対象者にアイディアを出してもらい、何かを一緒につくり上げる手法になります。
重要なことは、これらのツールはリサーチの目的に応じて、適切に選ぶ必要があるということ。また、必要に応じてカスタマイズ行う必要があります。サンプルとしてはインターネット上にいくつか見つけることができますがそれをそのまま使うというのは難しい場合が多いのでは、と感じています。
私達のデザインリサーチ活動においても実際にツールを作成し対象者にインタビューを行いました。ひとつ、重要なのは、実際にインタビューを行う前に、ツールのテストを兼ねてリハーサルを行う事です。我々もクラスメートに対して作成したツールを利用してインタビューを試みたのですが思ったとおりに行かないことがありました。つまり我々としてはこういう風にツールを利用して欲しいと思っているにも関わらず、それをうまく伝えられなかったのだと思います。
こういったツールを必要に応じて使用することによって、対象者の具体的なニーズを詳細に引き出す事を試みますが、前回の記事でも書いたように、デザインリサーチの計画は、本当にパルズのような側面があるなぁと感じて居ます。