デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

デザインリサーチで重要なWho、Where、What

前回の続きです。

ddcph.hatenablog.com

前回の記事で、Research Objectiveの設定について書きましたが、そのResearch Objectiveを達成するための方法について計画をたてる必要があります。

計画に関して、重要なのは大きく分けて3つ。Who、Where、Whatです。Whyに関しては前回の記事で設定したのでここでは触れません。またWhenやHowが重要な場合もあるのでしょうけれど、それはWhat、Who、Whereが決まれば半自動的に決まってくる場合が多いので、やはりここではスルー事にします。

Who、Where、Whatのうち、やはりいちばん重要であり、一番最初に決めるべきは、Whoでしょうか。これが決まらないことには、WhereやWhatを決めることが出来ません。今回のプロジェクトは、スポーツ施設の改善プロジェクトですが、スポーツ施設に関わりのある人と言っても実は大勢居ます。

スポーツ施設を実際に使っているお客さんはもちろんですし、スタッフの人も居るでしょう。プロジェクトの方向性によっては近隣住民の意見が重要な場合もあるかもしれませんし、そもそもスポーツ施設を全く利用したことのない人に対して調査をする必要が有る場合だって少なくないはずです。

こういった多くの可能性の中から、自分たちのリサーチ対象をどのように設定すれば良いのか。これを設定するためにResearch Objectiveを使用します。我々のチームに関して言えば、スポーツ施設近隣に住んでいるにも関わらず、スポーツ施設を利用したことのない住民を対象にリサーチを行う事としました。

Whereに関して我々の場合は、リサーチに協力してくださった方の都合を優先して、対象者の自宅や職場にお邪魔してリサーチさせていただきました。ちなみに、これがスポーツ施設の利用者であればスポーツ施設内になる場合もあるでしょうし、他のチームで面白いところでは、コペンハーゲン空港でリサーチを行っているグループもあったようです。

そしてWhatに関してですが、どのようなリサーチを行うか、です。これが計画のキモだと言っても良いのかも知れません。インタビューと言うのもそのひとつの方法ですし、観察と言うのも立派なデザインリサーチの方法に成り得ます。インタビューの一部ではあるのですが、街中などで行うゲリラインタビューもあります。状況によってはワークショップを開いたりすることもあるでしょう。

そして例えばインタビューを行うのだとしたら、さらに検討すべき項目がたくさんあります。まず、決めるべき事は下記のような感じでしょうか。

  • リサーチの中で、どのようなセクションを設けるか。
  • 各セクションの目的はなにか。
  • 各セクションで話すトピックは何か。
  • 各セクションはどのように進行するか。
  • 各セクションでどのようなツールを使うのか。
  • 各セクションの所要時間はどの程度か

イントロダクションセクションでは、インタビューの目的の説明ですとか、必要に応じて録音、録画、撮影の許可を得たりだとかするわけですね。その後、アイスブレイク的なセッションを設けて、これまでの経歴を聞いたり、趣味だとか当り障りのないことを聞いて、その後、本題へと入って行ったりするわけです。最後に、コンクルージョンセッション等を設けて、締めくくったり、お礼を言ったり、なんやかんやして終了という流れになるのでしょうか。

なお、個人的にに面白いなと思ったのは、ツールに関してなんです。私がイメージする「インタビュー」では、レコーダー片手に聞きたい事を聞いていくスタイルだったんですが、デザインリサーチでは積極的にツールを使用します。これに関しては、また長くなってしまいそうなので明日にでも紹介出来たらと思って居ます。

以上、大雑把にリサーチ計画の建て方について書いてみましたが、講師の先生曰く、リサーチ計画はパズルのようなものだと仰っておりました。さくっと素直に決める事ができれば良いのでしょうけれど、目的を達成するために色々組み替えながら試行錯誤してみることが重要なようです。