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デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学の日々について書いています

2016年に注目すべきデザイントレンド10選

デザイン

はじめに

デザイン会社のフィヨルドが毎年、翌年のデザイントレンドを予想して発表しています。この内容に興味を持ったので英語の勉強をかねて、また近年のデザイン動向を掴むため、私なりに簡単に要約してみました。なお私による意訳が入っていますので詳細かつ正確に知りたい方は、原文をあたって頂くのが良いかと思います。

trends.fjordnet.com

目次

  1. ユーザの自然な行動を起点とする製品、サービス
  2. 個人情報の扱い方
  3. 従業員のためのサービス
  4. アプリケーションの新しい形
  5. パーソナライゼーションの一般化
  6. 市民のためのデザイン
  7. 健康が価値を持つ
  8. バーチャルリアリティ元年
  9. 選択肢の消失
  10. 企業内におけるデザインの活用 

ユーザの自然な行動を起点とする製品、サービス

これまで、私達とデバイスとの関係は常にデバイスに対する明示的な動作が起点になっていました。例えば、スイッチを押すと何らかの処理を行ったりというように。しかし最近では、様々なデバイスが私達の一挙一動をモニタリングし続けて居ます。例えば、 Jawbone UPのようなデバイスを腕に装着し、日々の活動を計測し続けています。

jawbone.com

また、Amazon Echoのように私達が日常生活の中で発する声によって何らかの処理を行うこともあります。

www.amazon.com

これらの製品、サービスを用いることでプライバシーの問題なども生じるでしょうが、それを上回る利便性を享受可能な場合もあります。声による操作は将来一般的になる可能性があります。なぜなら、どんな状況であっても(つまり他の作業をしながらでも)衝動的に操作する事が可能だからです。思いついた時に何かを購入したり、探したり、誰かとコミュニケーションする事ができます。

また我々の行動を取得する製品の他の例としては、歯磨きの状況をモニタリングする電子歯ブラシなどもあります。こういった製品を使用することで、我々は健康な歯の状態を手に入れられるでしょう。

ascii.jp

ユーザの自然な行動を起点としたサービスを組み合わせる事で、私達のタスクを自動化し、結果として生活をよりシンプルな物にすることもできるかも知れません。これらのサービスの実現には、人工知能、認知技術が重要になってきます。

また製品をデザインする上では、何らかの処理をする際にどういった形でユーザにフィードバックを行うかも重要なポイントになります。さらに、プライバシー及びデータをいかにして保護するかに最新の注意を払う必要があります。

個人情報の扱い方

我々自身や家族、家、車、身の回りなどで起こっていることを、これまで無かったような形で可視化可能になっています。これらの情報は健康管理や都市計画、環境保護など様々な面で活用され始めています。こういう状況下においては、情報の適切な扱い方がこれまで以上に重要になります。

個人からデータを収集すること自体は目新しいものではありませんが、近年、市民は高いITリテラシを身につけつつあり、情報の扱い方に関しても関心を持ち初めています。情報を扱う上で、情報を保護することは社会的責任でもあります。責任を果たさない場合、信頼を失いビジネスとしても失敗する事を覚悟すべきです。

その一方で、調査によると75%の消費者は、企業が個人の情報をビジネスに活用しより良い体験を提供することを好意的に感じています。

www.digitaltrends.com

例えば、Fitbitはユーザ情報の保護について、米国の幾つかの法律に準拠していますしCEOが声明を出しています。

Fitbit, Inc. - Fitbit Extends Corporate Wellness Offering with HIPAA Compliant Capabilities

Microsoft等の企業も既に厳しいプライバシープログラムを実行しています。

Trustworthy Computing - Our Commitment

ユーザの情報を収集することは、製品やサービスを改善しより良いものを作る上で重要なチャンスとなりますが、消費者にはその対価を提供する必要もあるでしょう。例えば割引を行ったり、新たなコンテンツや機能を提供したり、パーソナライズを行ったりなどです。

また、どうやって情報を収集するかも重要な検討項目です。例えば貴方が見知らぬ人からいきなり個人情報を尋ねられても答えませんよね?どういう状況であれば個人情報を提供しても良いと思うでしょうか。ブランドや企業の場合であっても、人と同じです。目的が明確で、正直で、親しみやすさが大切でしょう。

これらの情報を管理するために、最高セキュリティ責任者など、専門知識を持つ人を雇い、相応のリソースを割き、責任の所在を明らかにする必要があるでしょう。

従業員のためのサービス

 技術の進歩によって、従業員は私生活の様々な面で、当たり前のように優れた体験を享受するようになります。そうすると彼らは、同じような体験を職場でも期待するようになります。その結果、記号は従業員体験の満足度向上策を迫られることになります。すなわちそれは、画一的では無く、従業員それぞれに最適化された扱われ方や、早い成長、個人間のつながりなどです。このことは銀行から電気通信、ヘルスケアなど様々な業界で求められます。

キャリアパスは多様性の一途をたどります。かつては終身雇用が当たり前でしたが現在ではそうではありません。彼らは彼ら自身のキャリアを旅行のようなものとして捉え、自己実現や新しいスキルの獲得などのために企業を利用しようと考えます。

技術はスキルの流動化を実現しました。LyftやTaskRabbitのようなプラットフォームの上で、労働者がサービスを提供することを可能にもしています。

jp.techcrunch.com

thestartup.jp

消費者のための、ショッピングや旅行予約などの素晴らしいサービスと、従業員向けの不格好なサービスの間には多くのギャップがあり、従業員は多くの不満を抱くでしょう。企業はこれらを埋める努力をする必要があります。

また、インド、南アフリカ、中国ではデジタル市場が急速に進化しており、これらの市場における熟練労働者の余剰と、先進国における熟練労働者不足をいかにマッチングするかも検討する必要があるでしょう。世界はよりグローバルかつフラットな労働市場になります。

さらに、10年以内に人工知能は我々のワークフローに大きな役割を果たすでしょう。人工知能は人より低いエラー率でタスクをこなします。将来、ほとんどのタスクをAIに任せ、我々は創造的な仕事に集中出来る様になるでしょう。これら自動化は労働者にモチベーションを与えます。労働者は機械の一部のように感じたいとは思っていません。お金だけが唯一の報酬ではありません。職場環境が非常に重要です。

アプリケーションの新しい形

この章では、アプリケーションの形の変化について幾つか興味深い例を紹介します。

ひとつの例が音楽ストリーミングサービスのspotifyです。Spotifyの面白いところは、彼ら自身が直接サービスを提供するとは限らないところで、多くのプラットフォームやサードパーティのサービスなど様々な形でユーザのもとに届けられます。その結果、リビング、車、職場など、様々な環境で様々な音楽をユーザーに対して提供する事が可能となっています。

www.spotify.com

私たちはスマートフォンで様々なアプリをダウンロードし、起動し、終了し、削除し、切り替える事ができます。こうした状況を前提にアプリ開発者はアプリを開発していますが、これも変わりつつあります。

例えば、GoogleのNow on Tap機能は、画面上にあるものを自由に調べる事ができます。これはつまり、Now on Tapが文脈を理解している事を意味します。

Google Japan Blog: Android 最新OS で使える Now on Tap が日本登場

また、アプリの切り替えと言う操作は無くなる可能性があります。例えば、中国のメッセージングアプリであるWeChatは1000万以上のサードパーティアプリと連携しておりアプリの中で様々な操作が可能です。例えば宿泊しているホテルの部屋の証明や温度を設定することなどもできます。

thebridge.jp

さらにVISAはこの自動車は食料品やガソリンスタンドの支払いなどを行えるような次世代の自動車の研究を行っています。

news.mynavi.jp

近年では長年にわたって作成した多くの技術とサービスが連携しています。例えば、Nestと呼ばれるデバイスはAmazon Echoと同様に情報のハブとなる可能性があります。清掃サービスの手配や請求書の支払い、食料品の注文、写真の共有などが出来る銀行アプリを想像してみてください。

nest.com

私たちは今後、画面の中だけではなく、外側を考える必要があります。サービスを受けるためにアプリですべてを出来る様にする必要はありません。多くの場合、我々はサービスのために携帯アプリよりも優れた方法を見つける事ができます。そして少ない手順だったり、使いやすさなど、インセンティブを提供する必要があります。

カスタマージャーニーマップや、サービスブループリント、タッチポイントリフレーミングなどは、デザインを行うための標準的なツールとなっています。これらを使用することで新たな価値提供の機会を見出す事ができます。

パーソナライゼーションの一般化

技術によって、これまで特権階級のためだと思われていたサービスが大衆でも享受出来る様になりつつあります。例えば、顧客毎にカスタマイズされたサービスを提供することは多くのコストがかかりますし、そもそもスケールしにくいため、裕福な顧客だけのものでした。しかし、技術によってパーソナライズとスケールを両立することが出来る様になったため、この状況は変化しつつあります。

例えば、TaskRabbitを使用することで、お抱え運転手を持つ事もできるし、家具の組立やメンテナンをしてもらう事もできます。Washioを使用すれば洗濯物をピックアップして、届けてもらうこともできます。

www.getwashio.com

また、Caviarによってレストランから私達の家庭に料理の配達をお願いすることもできます。

www.trycaviar.com

これらの技術によって我々が出来る事と言うのが飛躍的に広がっています。

金融サービスは分析、可視化、通知や指導などを顧客に提供し、以前は小数の富裕層のためだけであった個人向けのファイナンスアドバイザーとして機能します。さらにP2P融資は先進国と発展途上国の市場をつなげ貸し手と借り手をつなげています。一般的にこれらは伝統的な銀行が行わない取引です。

他の例として、Instacartがあります。個人に買い物代行サービスを提供します。地域にある複数の店舗に対して食料品を注文しそれを届けてもらうことの出来るモバイルサービスです。

www.instacart.com

個人用のファッションスタイリストであるTrunkClubや、パーソナルアシスタントであるFacebook M、手頃な価格で贅沢な休暇を過ごすためのTablet Hotelsやなど、様座な分野でサービスが存在しています。

www.trunkclub.com

jp.techcrunch.com

www.tablethotels.com

業界、銀行、医療、教育、ショッピングなど様々な業界で、これらのサービスが登場するでしょう。権威ある教育機関も取り組みを初めて居ます。例えばハーバード大学は講義の録音をオンラインで公開しています。Coursera、 edX、 Khan Academy、 Nautilus、Udacityなど様々な団体が、同様の取り組みを行っています。

president.jp

こうしたサービスによって大衆が価値の高いサービスを受けられる様になると、新しい贅沢の形が再定義される可能性があるでしょう。貴方が提供する贅沢は大衆が享受出来る物と違いがあるでしょうか。 

市民のためのデザイン

デザインは、政治にも取り入れられるようになる。これは主に、デジタルネイティブ世代が政治に関わるようになってくる点と、大衆を理解する方法としてのデザインへの期待とであり、コストを削減するための方法としてでもあります。

これまで、情報の非対称性や、声の大きさの違い等の問題から政府が考えている市民と、市民の実態には隔たりがありましたが、デザイン手法を取り入れる事によってこれが改善される事でしょう。これにより、均一なサービスから、個々のニーズに合わせたきめ細かな市民中心のサービスが提供されるようになります。技術が公共サービスを改善する年になるかもしれません。しかしもっと大事な事は、新しい形の市民権を生み出すかも知れない事です。

イギリスの例では、デジタルサービスのチームが10週間で、gov.ukのアルファサイトについて、デザインし構築し公開しました。

gds.blog.gov.uk

ワシントンDCのUSデジタルサービスでは、3ヶ月以内に最小限ではあるものの実行可能な製品をリリースすることを目標としています。イギリスと米国の両政府は、多くの商業組織よりもシンプルで洗練されたデジタルデザインガイドラインを公表しています。

GOV.UK – GDS design principles

また、我々は民間による政府的なサービスを見ることもできます。例えばシリア難民の際には、AirBnBが難民支援を行い、26のドイツの市民が難民を受け入れています。

www.npr.org

www.refugees-welcome.net

Mobile Justiceと呼ばれるアプリは、米国自由人権協会に簡単にビデオ映像を送信出来る機能を持ちます。

www.mobilejusticeca.org

iRightsは子どもや若者の権利に焦点を当てた取り組みを行っており、自分が作成したすべてのコンテンツを編集または削除する権利を含む普遍的な枠組みを提供しています。

irights.uk

政府ははまた民間と一緒に大きな課題を解決するための取り組みも行っています。ホワイトハウスはシリアの救援活動のための資金を調達するために国連難民機関およびキックスターターと共同で、クラウドファンディング創造的なプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、7000人以上の難民が寝る場所と彼らの生活必需品を確保するために1週間で180万ドルを調達しました。

thebridge.jp

政府が十分に機能していない場合には民間が代替することもできます。F6Sはスタートアップ、アドバイザー、投資家のための社会イノベーションフォーラムで、世界中の人々はアクセラレータやピッチ投資ファンドにアプライしたり、求人や求職が可能です。

f6s.com - #1 for startup founder deals, accelerators & funding | F6S

公共サービスデザインの焦点は国によって異なる場合があります。米国や英国はアウトプットの品質を高めることに注力しています。一方でドバイやシンガポールのような国は、技術を活用して、より先進的なサービスの提供を目指して居ます。

政府がサービスを提供する場合、コンテンツ、構造、ナビゲーション、説明などのわかりやすさがとても重要な評価指標となります。スウェーデンの場合は例えば、政府が用いるコミュニケーションにガイドラインを設定しています。

市民はそれぞれ様々な問題を抱えています。結婚や離婚、養子、訴訟、納税など。これらはとても重要な行為です。人間性を忘れてはなりません。サービスを設計する際には、行為者(市民、政府職員、仲介者など)の存在や、サービスが提供される場所(オンライン、電話、市庁舎など)、媒体(ソフトウェア、チラシ、デジタルツールなど)、プロセス、システム全体のパフォーマンスなど、生態系全体を考慮する必要があります。

健康が価値を持つ

自分自身の健康を測定する事は新しい収益の形に成り得ます。私達の医療費は上昇し続ける一方で収益が伸びる見込みは無く、仕事は不安定です。そのような状況下でヘルスデータは、実際に価値がある通貨のような存在になるでしょう。

ユーザは予防医療と娯楽の目的でヘルスデータを取得しています。そのためのコストは、技術革新によって現象し続けています。逆に、医療費は上昇し続けています。健康のセルフモニタリングは一部のギークのものだけではありませんし、コストは現象し続けています。Fitbit ZipやJawbone UP MOVEは100ドル以下で販売されています。

ウェアラブルのヘルストラッキングデバイスの市場は2019までに6倍になると予想されていますが、価格が安くなるだけでなく、スマートフォンやスマートウォッチのように、様々な機能がバンドルされる様になるでしょう。

www.zdnet.com

金融サービスでは、アメリカの保険会社であるジョン・ハンコックは、Apple Watch向けのアプリを開発しました。このアプリを使用すると顧客は、日々の活動を記録する事になります。そしてその活動に応じて最大15%の割引を受けることができます。

www.theglobeandmail.com

健康保険会社のシグナは2014年、数千人の従業員にBodyMedia(Jawboneが買収済)のヘルスモニタリングシステムを提供する試みを行いました。その結果、糖尿病リスクの高い従業員の健康状態が改善されていました。

mobihealthnews.com

健康保険会社のオスカーは、彼らの顧客にMisfit Flashを提供し、目標の歩数を達成する毎に1ドル(最大で年間240ドル)のAmazonクーポンを報酬として与えています。この取組は顧客の保険料を減らすだけではなく、保険会社への忠誠心とコミットメントを生成する効果もあります。

gigaom.com

オーストラリアでは健康保険会社のMediBankとロイヤリティプログラムを提供するflybuysが顧客がヘルスデータを提供する見返りにポイントを付与します。flybuysは主要な小売店や電話会社、航空会社などと提携しています。

flybuys.medibank.com.au

このようなサービス及びデバイスを活用することで、医療機関とのより生産的かつタイムリーな連携を容易にし、予防ケアと、生活改善に取り組む事により、医療費を抑える事ができます。

また、将来、個人のライフスタイルや遺伝子プロファイル毎に治療方針を検討しパーソナライズされた薬を摂取するような医療が登場し、人々の生活の全体的な質の向上が可能になるでしょう。研究者とデータ提供者と患者が共同で個別の治療を開発する新しい医療の時代が迎えます。

製品フォーカスから結果フォーカスにトレンドが変化しています。製薬企業は、遠隔医療、ヘルスケアプログラム、スマートピルのようなデジタル・サービスを通して付加価値を創出する総合的なサービスの提供を試みています。

持続可能な方法で医療を再構築するには、新しい考え方が必要とされています。顧客との接点を点で考え高価な処置を下すのではなく、患者を線で捉え、持続的に適切なケアを行っていく必要があります。

バーチャルリアリティ元年

バーチャル・リアリティは2016に身近なものになります。これまでVRは高価で大型な装置や、高度な技術が必要で軍事用途などに使用されるに過ぎませんでした。しかしソニー、サムスン、オキュラスなどが一般消費者向けの製品を2016年前半にリリースすると発表しています。

www.oculus.com

www.samsung.com

www.playstation.com


Oculus Riftと競合のVR製品は、それぞれ独自のプラットフォームやアクセサリを備え、ゲーム業界への参入を目指しています。その結果、VRは大きなビジネスになる可能性があります。VRが提供するゲームは、既存のゲームとは異なる物になり、非常に興味深いものとなるでしょう。教育、観光、ヘルスケア、仕事、娯楽、家庭など、様々な領域でVRが使われ始めます。

もちろん、VRはビジネスにも役立つ可能性があります。VRの電話会議は生産性を向上するかもしれません。バーチャルコラボレーションツールの活用で、出張を減らす事が出来る可能性もあります。外出先から社内にいる様に働く事が出来るようになっても不思議ではありません。

企業は既にVRのために動き始めています。また消費者も2016年初頭にはOculus Riftのようなデバイスを購入するかも知れません。サムスンは2015年末にGear VRを99ドルでリリースしました。ソニーも2016年に独自のVRヘッドセットを販売する計画を発表しています。マイクロソフトもまたHoloLensを開発者に向けてリリースしています。

Google Cardboardもまた、注目すべきVR製品です。ダンボールでできたヘッドセットの内側にスマートフォンをセットし個人用のVRシステムを実現するためのシステムで非常に安価に実現可能です。ニューヨーク・タイムズはVR映画の紹介をするために100万以上のGoogle Cardboardを配布しました。

Google Cardboard – Google

また、ノキアはプロのクリエイターのためにVRカメラNokia OZOを開発しました。

gigazine.net

教育ツールとしてのVRも2016に大きな飛躍を遂げるでしょう。Googleはアメリカの12の都市とカナダ、デンマーク、シンガポールの学校でVRフィールドトリップを行うと発表しています。

jp.techcrunch.com

ビジネスにおいてはVRが事業プロセスに影響を与える可能性があります。そのひとつに他者とのコラボレーションがあるでしょう。AltspaceVRはVRを使用して仮想空間でコミュニケーションをするための手段です。また、コミュニケーション以外の面においても、VRを利用して個人の生産性を高める方法もあるでしょう。

jp.techcrunch.com

Oculus Story StudioのようなVRムービーのための新しい技術や方法を研究しているチームから、VRのためのムービーフォーマットや作成サービスが登場するでしょう。

www.moguravr.com

さらに、VRの可能性を広げるために、Oculus Touch、Google Cardboardのジャンプカメラリグや、他のモーションセンシングデバイスも注目すべきです。

www.gizmodo.jp

www.itmedia.co.jp

Motion Sensing Peripherals Archives - Road to VR

その他、仮想観光旅行や、VRを活用したジャーナリズム、医療用途など、VRはゲーム以外の分野にも広まっていくでしょう。

拡張現実の技術は、過去長い間研究されていました。Blippar appは一般的な物体やポスターに仮想的なレイヤーを付与します。

blippar.com

QRコードによる情報提示もVRの一種と考える事が出来るでしょう。デザイナーとしてはQRコードが世界にあふれる事はビジュアル的に良いとは思えません。しかし、アジア太平洋地域においては、QRコードは非常に普及していますし、QRコードが有ることによってユーザーに情報の存在を知らせる事ができています。ARとVRは将来、新しい体験を作り出すために融合される可能性もあります。

VRが多くの産業やサービスを強化し、拡張する事を期待しています。あなたのビジネスにVRをどう活かすが重要です。Oculus、SONY、サムスンのうち、どのプラットフォームを選択するかは難しいかもしれないが、市場のリーダーは、優れた判断をするでしょう。また、Google Cardboardも簡単に低コストでVRを実現する方法となるでしょう。

選択肢の消失  

AppStoreに100万以上ある中からアプリを選んだり、スーパーでミルクを選んだり、我々の生活のあらゆる側面には選択があふれています。平均的な人は、食生活に関する事だけで、1日に200以上の判断を行っています。

近年の調査で人々は選択肢が少ない方が満足度が低くなるが、選択肢が増えると選べなくなる可能性が高いということがわかっています。

アルディは伝統的なスーパーよりも大幅に少ない選択肢しか提供していませんが成功し、破壊的なビジネスモデルを構築しました。

nipponmkt.net

プロクター・アンド・ギャンブルはシャンプーを26製品から15製品に整理したところ、売上が10%向上しました。

我々はどのようにすれば、消費者のニーズを満たしつつ、消費者が直面する選択肢を減少させらるでしょうか?ひとつの例としてはAmazonのダッシュボタンがあげられます。

jp.wsj.com

ボックスサブスクリプションサービスは、驚きとキュレーションを提供し、選択を肩代わりします。届いた箱を開けることが楽しみでもあります。このビジネスは主に、選択肢の多い領域をターゲットとしています。例えばパウエルは書籍を届け、Bitsboxは子供達にコードを教え、BarkBoxは犬を喜ばせます。

bitsbox.com

cart.st

IFTTTはユーザが自分のアプリとデジタルツールの間でカスタムな連携を作成する事を可能にするサービスです。例えば、AlexaをEvernoteに自動的に追加する事ができます。IFTTTは2014年に200億円の評価を得ています。IFTTTのユーザは170以上のチャンネル上で、毎日2000万のショートカットを作成しています。

ifttt.com

消費者が考えを停止出来る方法を考えます。彼らが好きな、知らない事を見つけます。例えばお菓子のサブスクリプションサービスであるGrazeは食料品店では無いですが、あなたのために製品を選択しています。

blogos.com

企業内におけるデザインの活用

企業の平均寿命は1920年代に67年でしたが今日では15年になっています。

www.theatlantic.com

イノベーションへのプレッシャーがこれまでにない以上に高まっています。2014年には全世界で約200兆ドルが研究開発に費やされました。

https://www.battelle.org/docs/tpp/2014_global_rd_funding_forecast.pdf

しかしながら調査によると、消費者向け製品の研究開発は85%が失敗しています。

How to Flip 85% Misses to 85% Hits: Lessons from the Nielsen Breakthrough Innovation Project

その結果、企業はビジネス・インキュベータやイノベーションラボを買収することで、社内にデザイン思考を導入し問題解決に取り組んで居ます。例えば、Capital OneによるAdative Path、BBVAによるSpring Studio、Wipro DigitalによるDesignitの買収などです。

明らかに、技術とビジネスにフォーカスしたイノベーションだけで持続可能な差別化を図ることは、これまで以上に難しくなっています。デザイン主導のイノベーションは、コピーすることが難しいため、持続可能なビジネス領域を確保するための最良の方法かもしれません。

我々のクライアントの多くは、彼らの顧客とコラボレーションするためにデザインスタジオの設立を試みています。我々は大規模な組織の中でデザインを取り扱ううまい方法を検討しましたが、どのような組織にも適用可能な解決策はありません。例えば、デザインが企業の中でどこに存在するかによって大きく異なります。CIOやCMOですか?それとも別の場所ですか?あるいは別の分離された組織でしょうか?

2009年以来米国の主要な6銀行はデータ分析、P2Pレンディング、個人向け資産管理、緊急支払い技術など30ものフィンテックスタートアップに戦略的な投資を行ってきました。

www.cbinsights.com

小売業では、ウォルマート、Staples、Zapposがイノベーションを成功させています。医療分野においては、CVS Healthはスタートアップに対して成長のためのフレームワークを提供するイノベーションハブをボストンに開設しました。

企業は、イノベーションが非常にとらえどころのないものだと感じています。ユーザの共感を得られるビジネスの成長には、複雑な問題を見極め、失敗を許容し、それどころか賛美するような、新しい手法が必要です。これはまさしくデザイン手法だとも言えます。

デザイン主導のリーダーシップの例もいくつかあります。eBayは新たに組成したデザインアドバイザリーボードのチェアマンとして、ジョン前田を招聘しました。同社は、DNAの一部としてデザインにリソースを割いています。また、2012年にPepsiCoはマウロポルチーニがチーフデザインオフィサーに就任しました。彼は同社のデザイン主導イノベーションを率いて居ます。

多くの企業において、デザインを活用するためには、プロセスと規模の2つの課題があります。経営層レベルは、この取り組みを支援する必要があります。デザイナーを増やせば良いという問題ではありません。

一部の企業に取っては、組織全体でデザインの活用に意味を見出す場合があります。しかしその他の企業では、消費者に近い組織のみでデザインの価値を見出すでしょう。問題は「どこで」ではなく「どうやって」です。そして最終的に、実行しなければ成功はありません。

CEOなど経営層のサポートや、パイロットやMVPを共通言語として使用することが成功のために必要です。対話を通して組織間の溝を埋める必要があります。コラボレーションとワークショップの実施も効果的です。

ビジネスにもよりますが、社内のSWAT的なデザインチームは30人前後が適切でしょう。メンバーに多様性を持たせることが重要です。彼らが成果を出しやすい環境を用意します。彼らはコンセプトを創出し、プロトタイピングを行い、実証実験を行います。

異なるデザインチームを持ちたくなる誘惑にを気をつける必要があります。それよりは、既存の組織の中にデザインに精通したプロダクトオーナーと一緒に小さなグループを構築するほうが良い場合もあります。

デザインを成熟させ、メンバーの創造性を育むことの出来るように、壁がワークスペースとなり、誰もが行われているプロジェクトの確認できる空間を用意します。

おわりに

今後の大きなキーワードを私なりに拾ってみると、カスタマイゼーション、ヘルスケア、VRなどの新しい体験あたりかなぁと感じました。いずれにせよ新しいビジネスを構築する上でデザインに求められる役割と言うのが大きくなってくるのは述べるまでもなく、デザインチームはその中で、どうような価値を創出し、ビジネスにつなげられるかを意識する必要があるのかなぁと思いました。この辺りに関しては思うところも色々あるのでまた後日書くことができれば。