デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

図書館の改善案についてプレゼンテーション

三週間に渡るサービスデザインに関するプロジェクトも終了し、本日はプレゼンテーションが行われていました。

今回のプロジェクトは、コペンハーゲン中央図書館をクライアントとして彼らのコンセプトであるSmarter Togettherを推進するための提案を行うと言うものでした。

リサーチなどを進め、問題を抽出してアイディア出しを行い、プロトタイピングを行いテストをしたプロセスを含めて発表を行うわけです。

クラス全体を6チームにわけて、人チームだいたい30分程度だったでしょうか。図書館の関係者はもちろんのこと、CIIDのCEOもお越しになっており、普段の賑やかなクラスの様子とは異なり、かなり真面目な雰囲気でプレゼンテーションとディスカッションが進んで行きます。

3週間の成果を発表する機会とだけあって我々含めどのチームも気合十分。かつどれも大変魅力的なプレゼンテーションでした。これらの内容についてはそのうちWebサイトなどで公開されるのでお楽しみに。

デンマークの携帯電話料金について

Phone

デンマークは物価が高い。そんなわけだから、携帯電話の料金も高いんでしょう?って思われがちなのだけれど、私個人の感覚としては、不思議な程に安いと思っている。これに関して、実際に料金を示しながら紹介しようかと思う。

まず、デンマークにおける携帯電話キャリア(日本でいうDocomo、au、softbankのようなもの)は下記の4社がある。

  • youSee(最近、TDCから名前が変更になった)
  • 3
  • Telenor
  • Telia

デンマークにも日本と同様に数え切れないぐらいMVNO業者があるのだけれど、まずは上記事業者の料金について見ていきたいと思う。なお、これらの情報は2016年9月の価格であり、将来的に変更になる可能性はもちろんある。

まずはyouSeeである。

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例えば一番安いプランだと、4GBのデータ通信と10時間分の通話がついて139DKKなので、2000円程度だろうか。日本のキャリアは7GBで通信制限をかけているところが多いので、同程度使おうと思うと、199DKKで3000円になる。

次は3である。

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同様に、一番安いプランだと、12GBのデータ通信と12時間分の通話がついて120DKKなので、2000円弱。10GB使おうとすると200DKKで3000円である。

次はTelenorである。

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一番安いプランだと、10GBのデータ通信と無制限の通話がついて149DKKなので、2200円ぐらいかな。他のキャリアに比べれば最低料金は少し高いが、ある程度データを使う人であれば割安では、という気がする。

最後にteliaである。

f:id:mikio-k:20160918090922p:plain一番安価なプランでは8GBと無制限の通話がついて149DKKなので2200円ぐらいかな。しかしながら、ここは50GBや100GBという他のキャリアにはない料金プランを提供して居る事が特徴で、そういった通信が必要な人には大きな選択肢となるはずだ。

ちなみにMVNOキャリアの料金ついても紹介しておこうと思う。まずは私が使用しているLebaraであるが、10時間の通話と30GBのデータ通信で99DKKなので1500円程度。

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こちらはlycamobileであるが、10時間の通話と35GBのデータ通信で99DKKなので、Lebaraとほぼ同様である。

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そして現地人が良く薦めてくるOisterだけど、こちらは通話が無制限のプランがあるところが特徴だろうか。

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個人的には10時間もあれば十分では?と思うのだけれど、デンマーク人は移動中だとか、とにかく友人と電話するカルチャーを持っており、通話し放題のキャリアが結構あることからももしかしたら月に数十時間電話しているのかも?という気もしなくはない。そのためこういったプランが必要になってくるのかなと思う。

しかしながら、ここで不思議なのは、日本に比べて何故ここまで料金が安いのか、である。

日本のキャリアは街中にキャリアショップがあって顧客に対するサポート等も手厚いから料金が高いのだという話も聞くのだけれど、上記で紹介したキャリアに関して言えばそれはデンマークでも同じであり、それによって価格差を説明することは出来ないのではと思う。

日本の国土全体で均一なサービスを提供するためのコストであったり、東京という大都市における高い人口密度で滞りのない通信を実現するために高度なネットワークが制御が必要だとか、様々な理由はあるのであろうが、とても不思議である。

コペンハーゲン中央図書館の日本語絵本コーナー

コペンハーゲン中央図書館にてリサーチ中、Twitterにて「えほんのたね」というプロジェクトの事を教えて頂きました。

ehonnotane.net

詳細は上記リンク先を覗いて頂ければと思うのですが、プロジェクトを通して日本語の絵本を図書館に寄贈することによってそれらが貸出可能になり、デンマークに住む日本人が子供に日本語の絵本を楽しむ事が出来るようになる、というものです。

デンマークの公用語はデンマーク語ですから、図書館に置いてある書籍の大半はデンマーク語になるわけですが、日本をルーツに持つ親としては、やはり子供に日本の文化にも触れさせたいと思うのは自然な事であり、そういった需要に答えるためにこういったプロジェクトは大変意義があるものだと思います。

また、絵本って実は外国語であったり、外国の文化、価値観を学ぶにも良い教材だと思うんですよね。例えば、コペンハーゲンではBook Startというプロジェクトがあり、図書館員が子供を持つ家庭を訪問して本を届けるという試みも行われています。届けられる本は外国人家庭であってもデンマーク語のものなのですが、面白いのはこういった子供向けの本を通して、親御さんもデンマークについて、デンマーク語について理解を深めてねという意図があるということ。確かに子供向けのものであれば出てくる内容も簡単なものであろうし、子供と一緒に勉強するということも出来るのでしょう。

さて、コペンハーゲン中央図書館に実際にどのような絵本があるかを見てみたところ、下記のように、誰もが一度は見たこと、読んだことがあるような絵本が揃っておりました。日本から遠く離れた地デンマークで、こういった絵本に出会え、懐かしい気持ちになりました。

 

シェアリングエコノミーネイティブとは何か

Sharing

インタビューでお子さんを持つ親御さんの話を聞いている。私自身は日本で生まれ育ったので、デンマークに子育てというのは大変興味深く、かつ色々と新鮮なのだけれど、それでも私自身が子供だった時と比べて大きく違うだろうなと感じる点が個人同士のやり取りが子供に与える影響について。

例えば、シェアリングエコノミーのように、ひとつのものを複数の家庭でシェアしたり、インターネットを介した個人間売買であったりが現在ではとても一般的になってきています。日本だとメルカリなどを利用して、これらが行われて居るとも聞きますが、おそらく同じような状況なのではないかと思います。

こういった状況下で幼少期を過ごすと「自分のもの」という感覚の中身が、我々世代と異なるものになる可能性が大きいのではないかということ。

例えば、今20代の人たちは、デジタルネイティブと呼ばれる事があります。彼らは物心ついた頃から身の回りにパソコンがあり、インターネットに触れてきた世代であり、インターネットがあることが当たり前という価値観を持っていると言われています。

彼らより後の世代であれば、スマホネイティブと言えるかも知れませんが、いずれにせよ新しいテクノロジーに幼少期から触れている事の影響と言うのは無視できません。

シェアリングエコノミーは今後ますます発展することに疑問の余地は少ないでしょう。物心ついた時から、ものを他人と共有する事が当たり前であるという環境で育った世代が将来世の中をどのように捉え、どのような世界を作って行くのか、大変興味深くあります。

デザイン思考の限界と可能性

コペンハーゲンに来られた某先生と話をしていた際に飛び出た話題なのですが、昨今、デザイン思考って世間で過剰評価されているのではないかと思います。世の中を見渡して見渡してみると、猫も杓子もデザイン思考だという感じで、イノベーションに必要なのはデザイン思考だ!デザイン思考さえあればイノベーション創出し放題だ!なんて論調さえ聞こえてくるのですが、デザイン思考はそこまで万能ではありません。

デザイン思考を実際に使うためには、色々と制約もあるはずですが、そのあたりがうまく認識されていない可能性があるのではないかと思います。そこで、デザイン思考の導入を検討する前に、この辺りを認識しておく必要があるよねという点について、私が思いつくあたりでいくつか書いておこうかと思います。

なお、本稿では私が思いついた点を3つ程挙げますが他にも色々と注意点があると思います。こういう点も注意が必要だなど他にありましたら是非教えて頂きたいです。

トピックは自分で決めなければいけない

デザイン思考のプロセスでは、ユーザを観察したりインタビューを行ったりして、ユーザを理解するところから始まります。では、観察したりインタビューするユーザーはどうやって選べば良いのでしょうか?

例えば、台所用の洗剤など、生活消費財などを作っている会社の場合であれば、対象となるユーザー、観察すべきシーンはある程度明確かも知れません。あなたのキッチンを見せて頂けませんか?とお願いすればいいでしょうし、料理をしているところや、片付けをしているところを観察させて頂ければ何らかのヒントが見つかる可能性も高いはずです。

一方で、例えば精密加工技術だとか、映像処理に関する技術、特殊な接着剤など何でも良いのですが、なんらかの技術を持っている場合に、これを活用して何らかのイノベーションを起こしたいと考えている場合。ユーザーを観察するだとかインタビューをすると言ってもどこに集点をあてていいものかを中々判断する事ができません。

これはスタートアップなどでも同じ事が言えます。スタートアップの場合は、参入すべき市場も、独自技術も持ち合わせていない事が多いですから、ユーザー選定に関するヒントはもっと少ないかも知れません。この場合は、自分たちの直感を信じるといいますか、自分たちが興味のある分野を、とりあえずの取っ掛かりとしてユーザ調査を開始して行くことになるのかと思います。

いずれにせよ、デザイン思考では、イノベーションを起こそうとする分野を選定するための方法を提供しているわけではないので、この部分を何らかの方法で決めていく必要があります。

新しい市場を開拓する事には向いていない

デザイン思考は、はじめにユーザーありきでプロセスを進めて行きます。これはつまり、新しい市場へのアプローチには向いていないと言うことであり、既存市場向けのイノベーションが中心になってしまいがちだという事でもあります。

例えば、名著イノベーションジレンマの中には、ディスクドライブ市場の淘汰の歴史が出てきます。その中のひとつのエピソードとして、5インチドライブを作っていた会社の研究所が3.5インチドライブのプロトタイプを開発した際に、5インチドライブのユーザ企業に対してニーズ調査を行ったところ、3.5インチドライブは不要であり、必要なのは大容量、高信頼性など、従来製品の性能向上だという調査結果が出てきて開発が中止されたという話が出てきます。このエピソードの結末は、3.5インチドライブは従来の5インチドライブユーザではなく、もっと小型なコンピュータを作って要る企業から必要されているという事であり、彼らはリサーチ対象を間違えたと言うことなのです。 

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

イノベーションを創出するためのアプローチとしては(1)ユーザーに製品を合わせて製品を改善する方法と(2)製品に合うマーケットを探す方法があるわけですが、デザイン思考はまさに(1)の方法です。これはつまり、全く新しいマーケットにおいて自社の製品が受け入れられる可能性を探索しなければならないという場面においては他のアプローチを採用する必要がある事を示しています。

開発中の段階からユーザを巻き込む必要がある

デザイン思考のプロセスにおいてはプロトタイピングを非常に重要視しています。開発プロセスにユーザを巻き込んで行く方法については、リーンスタートアップなどでも同様ですので、重要性を改めて強調するまでも無いとは思います。

リーン・スタートアップ

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しかしながらスタートアップなどであれば比較的柔軟に対応出来るとは思いますが、特に大企業においては、ユーザーを開発プロセスに巻き込むって、口で言う以上に難しい事が多いのではないかと思います。

何かトラブルがあってユーザに迷惑をかけてしまった場合にどうするのか?そもそも開発中の製品情報というのは機密中の機密であるはずだが、それを外部に出してしまって大丈夫なのか?何処かから情報が漏れてライバルに真似されてしまうのではないか?などなど、考えればキリがありませんし、特に日本の大企業においてはこれらのハードルをクリアするのは容易ではないのではないかと思います。

もっともこの部分は契約次第でなんとかなる部分でもあると思います。例えば、デザイン思考を含むプロセス自体を外注してしまって、会社の外、言ってみれば長崎の出島のような場所を作ってイノベーションに取り組むなどでしょうか。ジョイントベンチャーを作って云々というの一つの方法かと思います。いずれにしてもデザイン思考に取り組むためには、社内において、どのようなスキームでプロセスを進めて行くかを予め検討しておく必要があるでしょう。

おわりに

以上、デザイン思考に取り組む前に検討しなければならない事項について述べました。

デザイン思考自体は非常にパワフルかつ柔軟性の高いツールですし、製品開発だけでなく、例えば社内の購買プロセスや、リクルーティング活動の刷新、新しいマーケティング手法など、様々な事に応用する事ができます。近年ではデザイン思考について解説している書籍やWebサイトも多くありますので、制約を認識したうえで取り組めばビジネス面において大きな恩恵を享受する事ができるのではないかと思います。

デンマーク全土に点在するケバブ屋兼ピザ屋兼ハンバーガ屋さん

コペンハーゲンにおいてよく見かけるお店の一つに、ピザ屋とハンバーガー屋と、ケバブ屋を一緒にしたようなお店があります。そこまで美味しいというわけでは無いのでしょうが、比較的安価であるし、そこまで外れも無く、現地の人には結構人気が有るように思います。

コペンハーゲン中心部だと下手すれば1ブロック1店舗ぐらいあるんじゃないかという感じで、気軽にご飯を食べたいときに重宝します。日本でいうと、牛丼屋さんのような感覚でしょうか。

価格帯はというと、例えばハンバーガー、ポテト、ジュースのセットで70DKKから90DKKぐらいが相場のような気がします。注文すると、店によりますが下記のような感じで出てきます。ジュースは冷蔵庫から自分で好きなの取ってねというスタイルが基本ですね。

ケバブの場合は大きくわけて二種類あります。一つはピタサンドと呼ばれる下記のようなもの。

Uyghur-Turkish doner kebab on a steamed bun (rou jia mo) with Xinjiang spices in Beijing, China...

そしてもうひとつはドラムと呼ばれる下記のようなもの。アルミホイルに包まれているのが特徴です。

Durum @ Taj Mahal - Bar Doner Kebab

ピタやドラムのお店によってポテトがついたりつかなかったりしますが、基本的にはつく店が多いかなという印象。ピタにはポテトがつくけど、ドラムにはつかないという居お店もあります。ちなみに値段はハンバーガーと同じく70DKKから90DKKぐらいが相場かな。

ピザの場合は、ピザとドリンクでやはり同じぐらいの価格帯か、少し安いぐらいの設定が多いように思います。ちなみに私はハワイと呼ばれるパイナップルが乗ったピザが好きなのですが、同級生からは評判が悪いのが少しショックです。

さて、注文の仕方についてですが、店に入ると大抵カウンターがあるので、店員さんにピザから、ハンバーガーか、ドラムかピタかを伝えればOK。ドリンクやポテトとのセットを頼みたいときは「メニュー」をつければよくて、例えば「ドラムメニュー、プリズ」で多分大丈夫。簡単ですね。

なお、一部の店では、ケバブを選ぶと、ケバブの種類を選べたり、野菜の好みなどを聞いてくれたりもしますが、そのへんは適当に答えておけば、そこまで変なのは出てこないはずです。

YOBURGERへ

こちらの人、特に若い人はみんなハンバーガーが大好きです。どこかご飯を食べに行こうかとなったときに候補にあがるのは、だいたいハンバーガー屋さんからケバブ屋さんであることが多い。

そんなわけで、ランチで食べに行ったハンバーガー屋さんがこちらのお店YOBURGER。

YOBURGER | SAY CHEESE

場所はKongens Nytorv(コンジェンスニュートー)駅からNørreport(ノアポート)駅方面へ少し歩いたところ。店内は結構狭くて、テーブルが2つあるだけなのだけれど、結構なお客さんが。

ハンバーガーに、ポテトとジュースがついたセットメニューは89DKKからで1500円弱ぐらいかな。バーガーキング等のチェーン店に比べればちょっと高いぐらいの価格設定。

肝心のハンバーガーはというとこんな感じで、他のハンバーガー屋さんに比べるとパンズが薄めかなと思うけれどハンバーガーとしては結構美味しいと思います。

ちなみに面白いなと思ったのは、ちゃんとベジタリアンメニューがあるということ。友人が注文していたのは、キノコのフライをパンズで挟んだものでした。こちらではベジタリアンが珍しくないという事もあって、ハンバーガー屋さんでもこういったベジタリアンメニューを用意していたりします。日本では中々無いですよね。