デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

問題定義とクリエイティビティ

クリエイティビティと言う単語から想像する物とは何だろう。多くの人がクリエイティブな単語を聞いて思うのは、奇抜な絵を書くアーティストや、新しいプロダクトを生み出すデザイナーだとか、そういう職業であって、自分自信にクリエイティビティがあるとは考えていないのではないでしょうか。

数年前の調査なのだけれど、2012年にAdobeがこんな調査を行った事があります。概要だけ説明すると、海外の人からみた日本人は非常にクリエイティブであるが、日本人はそう思っていないとのこと。

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こちらの人とクリエイティビティについて少し話をしていたのだけれど、そもそもの話として、日本人の考えるクリエイティブと、海外の人が考えるクリエイティブの範囲に違いがあるのでは無いかと言う思いに至った。

例えば多くの日本人は工場労働者やオフィスワーカーのことをクリエイティブだとはあまり思っていないのでは無いかと思います。だけれど、例えばトヨタ式生産方式として知られるように日本の工場労働者が取り組んでいるカイゼン活動などはクリエイティブの塊だとして海外からは思われているようです。

私は新入社員の際に3ヶ月ほど工場研修をさせて頂き、工場で働く機会を得ました。工場の現場では常に、どこをどうしたらもっと生産性が向上するかだとか、不良を減らす事が出来るかだとかを常に意識しながら働いています。職場は創意工夫に満ちあふれていました。しかしながら、私が研修で工場で研修させて頂いていたとき、自分たちがクリエイティブだなんて思った事もありませんし、諸先輩方も同様だと思います。それは多分、多くの日本人にとって、改善活動が当たり前のことだからなのかもしれません。

思うに、工場でこうしたクリエイティビティが発揮出来る背景には、その領域について熟知しており、問題がある程度明確もしくは調査可能であるからと言うのがあるのでは無いかと思います。日本人に取って目の前に問題を解決することは当たり前の行為であって、それがクリエイティブだなんて思いも寄らないのでしょう。

しかしながらこれは、海外の人に取っては少々理解し難い事なのかな、と思います。例えば私がデンマークで借りたアパートでは、部屋の一部が壊れている部分があります。日本人の感覚からすれば「直せよ!!!」と言いたいところなのだけれど、こちらの人からすれば「壊れてるけど生活に支障はないよね?いいよね?」と言う感じなのでしょう。

では、日本人が考えるクリエイティブとは何なのか。それは、自分で問題を明確に定義したうえで、もしくはまったく新しい物を生み出す事だと思うのです。つまり、外国人は目の前にある問題を解決する事をクリエイティブな行為であると考えることに対して、日本人は問題定義から行ってこそはじめて、クリエイティブだと思っているのではないでしょうか。

当たり前のレベルが高い事、それによって自分たちがクリエイティブではないと思い込む事にすぐさま問題があるとは思いません。しかしながら、自分たちはクリエイティブではないと思う事によって、なにか新しいアイディアを求められた時に萎縮してしまって居るとしたら、少々残念な話であるなぁとも思います。