デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

ポートフォリオについて

今週はポートフォリオウィークと言うことで、授業は無いのですが各学生に各自のポートフォリオを充実させるようにという指示が出されています。

ポートフォリオと言うのはCIIDのWeb上で公開されているものもあれば、各自が自身のWebサイトを持っている場合もあります。自分のこれまでの経験を見える形で外部に公開するというのは、デザイナとしては一般的なスタイルであり特別なことでは無く思います。

デザイナと言う職種が他の職種、例えば事務職であったり工場作業者などとは異なり、個人の名前で仕事をする事が珍しくないからと言う事もあるでしょう。また、デザイナと言う職種だけでは何が出来るのかが良くわからない程に、スキルや志向の幅が広いからというのもあるでしょう。

スキルの違いと言うのはある意味わかりやすいのですが、センスやテクニックに関してはポートフォリオが語る事は多くあるのかなと思います。例えば、グラフィックデザイナですと名乗る人が何人か居たとして、彼らに同様のブリーフを渡して仕事を依頼しても、それぞれのデザイナのアウトプットが全然異なると言うのはよくある話ではないかと思います。

これが例えば工場で働いている職人さんに設計図を渡して「こういうものを作ってください」と依頼して出てくるものが職人さんによって全然違ったら問題ですし、経理の仕事をお願いしたのに担当する人によって計算結果が違ったら何を信じて良いのかわかりません。

このように、アウトプットのバラつきが大きいのは、逆に言えば依頼したい仕事の内容を明確に定義する事が難しいからと言う事も出来ますし、裁量の余地が大きいからと考える事も出来ます。そして仕事を依頼する側としても、仕事を明確に定義しない事による振れ幅の大きさをデザイナに期待している一面があるような気もします。

例えば、システム開発の案件を依頼しようと思った際に、いきなり実際の開発に入るのではなく、まずはコンサルティングのような契約を行い、仕様策定を行う事があるかと思います。

しかしながらデザインの場合、仕様策定しようにも難しいですから、デザイナーがコンサルティングの部分も含めてやる事が多くなるのかと思います。そうすると発注者としてはそのデザイナの過去の仕事を見た上で、どのデザイナに発注すべきかを考える事になるでしょう。そういった際にポートフォリオと言うものが生きてくるわけです。

これは例えばフリーランスのような形で仕事を受けるときだけでなく、就職活動などを行う時でも同様で、その人がどのような仕事が出来るのかを推し量る上で、ポートフォリオが非常に重要になってくるのだと思います。

私の場合は、これまでの経験もそれなりにありますから、この1年間で取り組んだプロジェクトの内容によって今後のキャリアが大きく変わると言う事も無いとは思うのですが、この機会を利用して自分のWebサイトのブラッシュアップなども含めて、諸々取り組んで見ようかなと思う次第です。