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デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学の日々について書いています

どのようにして問題を分析し仮説を立てるか

下記の記事で、サービスデザインに関するブリーフに関する説明を行いました。なお、ブリーフという単語を日本語にどう訳すべきかわからなかったのでカタカナのママ書いてしまったのですが、言ってみれば仕事の概要だとか指示みたいなもので、プロジェクトを行うための指針のようなものだと考えています。

ddcph.hatenablog.com

さて、上記説明したPinterest、Uber、Tinder、Airbnb、Twitterの中から各チームくじ引きで企業を割り当てられます。ちなみに私達の場合はTwitterでした。

ブリーフを引用しておくとこんな感じですね。

TwitterはVineを買収したもののVineの成長は完全に止まっています。投稿の数は毎年30%減少しており、アクティブユーザの数は毎年37%減少しており、危機的な状態でありいずれはTwitterの足を引っ張る存在になると考えられています。この状態を改善するためこの問題の原因を推測し、仮説を立て、テストを行いなさい。

まず、このブリーフに対する取り組み方として、そもそもVineがどのようなサービスであるかと言うのを恥ずかしながらメンバーの誰もが知らなかったので、とりあえず全員でやってみる事にしました。

おそらく、このブログを読んでいる方の中にもVineについて知らない方は結構いらっしゃるかと思うので簡単に説明すると、短い動画をシェアすることの出来る動画共有SNSです。一時期はAppStoreの無料アプリランキング1位を獲得したこともあって大変期待されて居ましたが、現在では多くの方に忘れ去られている、というところが現状です。なお、共有されていて人気のある動画としてはコメディなどかなり凝っているなと思うようなものが多いです。

チームメンバーでVineのアプリを一通り使ったあとは、それぞれが気がついたこと、思うところを述べつつ問題点を抽出します。いくつかあげてみると例えば下記のような意見がでました。

  • Vine内で数万名のフォロワーを持つような有名な動画投稿ユーザーが何人か居るものの、彼らの投稿頻度がかなり落ちている。
  • 一般ユーザが動画を簡単に投稿出来るとは言え、彼らが簡単に作った動画が伸びる事はほぼないように見える。
  • アクティブユーザーが減っているのは面白いコンテンツが減っているからではないか。

このような気づきから、問題点さらに深掘りしていきます。この際に我々が意識するものがトヨタが提唱したと言われるWhyを5回繰り返しなさいというもの。「有名な動画投稿ユーザが投稿しなくなったのは何故か?」「一般ユーザが投稿した動画の再生数が伸びないのはなぜか?」などを考えるときに「他のSNSに移ったから」「動画が面白く無いから」で終わるのではなく、他のSNSに活動の場を移したのであれば、それが何故か。というように、どんどん深掘りしていくわけですね。なお、この問題の深掘りに関しては、ある程度の推測が入る事もあります。

ちなみに他のチームの例を聞いていますと、Tinderであれば、マッチング後にチャットをしない理由として「ユーザは相手から返事が来ない事を恐れている」というのを原因としてあげていました。Uberの場合であれば、待ち時間が長くなっているのは、ユーザーが車の交通事情を考えずに入り組んだところで配車のリクエストをかけるからというのを理由のひとつとしてあげていました。

この時点でこれらの原因というのは確証があるわけではありません。もちろん、いくらかのユーザはそれが理由なのかもしれませんし、インタビューなどを通して確認する事も出来るでしょうが、それがどの程度かなんてのは簡単に確認出来る事ではありませんんので、ある程度の推測というのは許容すべきなのかなぁと思います。

そうして、問題点をある程度洗い出したら、ではどうやってその問題点を解決出来るかについて考えて行きます。例えばアクティブユーザを増やすためにはTwitterのフィードにVineのコンテンツを挟み込むのはどうだろうか、とか、有名な動画投稿者に多くの謝礼を払ってはどうか、など、実現性の高いものから低いものまでとにかく多くのアイディアを出して行きます。そしてそれらのアイディアは費用と効果の二軸マトリックスにプロットして、どのアイディアが良さそうかを検討していくわけですね。

ちなみに他のチームであれば例えばTinderの場合は、相手がオンラインであれば返事が返ってくる確率も高くなるであろうから、マッチング相手のオンライン/オフライン状態を表示してはどうかだとか、Uberの場合であれば短時間で配車可能なポイント(例えば大通りとか)をアプリが推薦してはどうだのような様々なアイディアがでていました。

アイディアを出したあとに重要なのは、じゃぁそれをどうやってテストするの?どういう結果が得られれば成功と言えるの?という事。

これに関してはアイディアによってテストの仕方が全然異なってくると思うので一概には言えないのだけれど、そのアイディアのうち、不確実性が高い部分はどこなのか?どこをテストし無ければならないのかをしっかり考える必要がある。

そしてそのテストの結果どのような結果が得られれば成功で、どのような場合に失敗と言えるのかを予め考えておく事も必要です。こういったテストをした場合にユーザがどのような行動を取るか知りたいという気持ちもわからなくないのですが、少なくともCIIDにおけるデザインと言うのは乱暴に言ってしまえば仮説検証プロセスのことであって、仮説を抜きにとりあえずやってみるという事はほぼありません。そして仮説があるという事は、仮説が正しいか間違っているかを判断する必要があるという事でもあります。

ちなみに教授曰く、課題としてはVineが一番難しいと思うと言っていました。これは実際に取り組んで見てその通りなんですが、落ちている物を受け止めるってホント難しいんだな、と。今、現在進行形で伸びているサービスであれば、どこがボトルネックであるかを特定して、そこの改善に取り組めば、アウトプットとしてそれなりに成果がでているように見えるんですよね。ところが、現在進行形でやばくなりつつある企業の場合、一部を改善してその落下速度を少し緩めたところで成果として華々しくなりにくい事が多いようにも思います。

もちろん、デザイナとして仕事をする上では、伸びて居るサービスをもっと伸ばす事も大事だけれど、伸び悩んでいる、もっと言えば衰退中のサービスをなんとかするという仕事も同様に重要なわけですから、どっちがどうと言う事はありません。しかしながら伸びてるサービスに関わっているデザイナのほうが仕事の成果が華々しくなりがちな事も事実であって、この辺りは注意しなければならないなと思ったのでした。