デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

大きな問題にどう取り組むか

問題の大きさというのは非常に重要な問題です。大きすぎると取り組むのが難しいし、小さすぎると取り組もうにも手のつけどころが無かったりします。なので、問題に取り組むときには問題を適切なサイズに定義する必要があって、問題が大きすぎるときには適切に切り出してやらなければなりません。

例えば我々は以前、食料廃棄に関するプロジェクトに取り組もうとした事があります。現在世界的に食料廃棄率が問題となって居ますから、この方向性自体は大変良いと思うのです。ところが、食料廃棄と言ってもその中身を見てみますと、様々な問題の集まりだったりするわけです。

例えば食料が廃棄されるタイミングひとつとっても、生産者の事情で廃棄されるものもあれば、問屋の事情で廃棄されるものもあれば、スーパーで廃棄されるものもアリ、レストランで廃棄されたり、一般消費者によって廃棄されるものもあります。

廃棄される事情も様々です。作り過ぎてしまったから、売れなかったから、美味しくなかったからなどなど。細かい事情を見ていけば、きっと数百、もしかしたら数千以上のケースがあるんじゃないかと思います。

こういった実情を前に、食料廃棄問題に取り組むぞ!と叫んだところで、じゃぁどこから手をつけたら良いのか、とても難しい判断だと思うんですよね。

では、こういった際に、どうやってプロジェクトに取りくんでいくべきなのか。

一つの方向性としては、各フェーズの食料廃棄率を調べて、インパクトの大きそうな部分に絞ってしまう事。例えば、食品流通プロセスにおいて、スーパーで廃棄される食料が多いとわかったら、スーパーにフォーカスをあてて改善点を探るというのはひとつの方法だと思います。

もしくは、例えば旅行関連のビジネスに興味がり、旅行体験の改善に挑戦してみたいと言った場合、これもやはり旅行と一言に言っても様々なケースがありますし、それぞれのケースにチャンスが眠って居る可能性があります。おそらくこれに関しても旅行業界に関してリサーチを行ったり、ユーザリサーチを行って問題点を探って行くなどして、どこにフォーカスすべきかを明らかにしていく必要があります。

とにかく、問題を出来るかぎり具体的に、かつ大きすぎず、小さすぎず適切なサイズに定義して行くこと。デザインの取っ掛かりとしてはこれが非常に重要である事は間違い無いのでしょうが、どの程度の規模で問題を定義するのが適切かに関してはきっとある程度の経験が必要な箇所なのかも知れません。