デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

デザインスタジオに取って大切なものは何か

先日、下記のように、個人の半期の活動を振り返りを行ったのですが、個人だけではなく、スタジオとしての振り返りというのも行いました。

ddcph.hatenablog.com

個々人のパフォーマンスがどうかっていうのはもちろん重要なのですが、こういったそれなりの人数で学んで活動していくわけですから、その学び舎の雰囲気ですとか環境というのも、重要なわけです。

そんなわけで行ったワークショップは下記のようなもの。

  1. ランダムに3人1組のグループを作る
  2. 各グループに下記の写真のような単語が書かれたカードのセットを配る
  3. グループで話し合って、我々(スタジオ)にとって重要な単語を選ぶ
  4. 選んだ単語を実現するために必要な行動を3つ考える
  5. グループを2つ選び合体させ、大きなグループを作る
  6. 選んだ単語を持ち寄り3に戻り最終的に1つのグループになるまで繰り返す

こうすることで、最終的にクラス全員に取って重要そうな単語3つと行動3つが残ります。

例えば、私の最初のチームが選んだ単語は下記の3つ、Fun、Innovative、Collaborativeでした。

Funと言うのは、真面目に楽しむ事も大事だけれどプロジェクトを楽しめる環境って重要だよねと言うこと。例えば、プロジェクトの最中にみんなで歌ったり踊ったりしたっていいし、プロジェクトに直接つながらないかもしれないけれど、新しいアイディアを気軽に試せる環境があっても良いよねというもの。これに関してはチームのメンバーで認識がほぼおなじだったので特に議論も無くすんなりと決まったのだけれど、面白かったのはInnovativeについて。

Innovativeと言うのは、我々は新しい物を作り出すためにここに居るんだから当然だよねという感じがありますから、グループの中で合意形成を得るのは容易いのですが、ではどういう取り組みを行えば、我々はイノベーティブになれるのかと考えて見ると意外と難しい。難しい訳ではないのですが、グループの中で同じ言葉に対して考える事が全然違うんだなぁと面白くもあり。

例えば、我々の成果物を外部に対してブログなどを通じて発信していくことが我々をイノベーティブにすると主張する人も居ます。これは外部からどう見られたいかという話ですよね。一方で、毎週担当を決めて、その人が気になったニュースやトピックを紹介する機会を作ろうという人もいます。これは内部に新しい情報をインプットする事によってそれらを活用して良い物を作ろうという試みなのかなと思います。このように、同じ単語であっても、その単語に繋がる行動を挙げてみる事によって、それぞれの人が考えている意味を明らかにする事ができるのが非常に面白い。

このようにして3つの単語を選んだところで、他のチームと合流して6人となる。相手た持って来たのは、Professionalism、Exploring、Helpfulだったかな。どうしてそれを選んだかを相手方に説明し、その中からさらに重要であると思うもの3つを選んで行きます。半年間、同じような環境で過ごしてきたメンバーではあるものの、色々と考え方が違って面白いなぁと思い。

最初は小さいグループで議論して議論の単位を大きくしていく方法と言うのも新鮮味があります。大きなグループで議論させると声の大きな人が議論をリードしてしまうけれど、小さいグループの場合は全員が議論に参加せざるを得ず、小さな声の人の意見も広いやすい。そして声の小さい人も一生懸命考えざるを得ないという効果はあるのかもしれません。

また、個々人の行動に対する振り返りだけじゃなくて、クラス全体の行動としてこのような形で振り返るのは非常に面白いなぁと思いました。企業の部署等でもこういったワークショップを定期的に開催すると、自分たちの部署の役割を見つめなおし、当事者として考えるきっかけになるので、業務改善のために効果的かも知れません。