デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

イノベーションは社外で?社内で?

先日、下記のような記事を書きました。

ddcph.hatenablog.com

上記の記事の中ではBCGデジタルベンチャーズや、Quantumに触れ、他社からの依頼を受けて、新規事業やイノベーションの専門家がイノベーションの芽を創出しましょうという組織があるよという話を書きました。これらは、いわゆるオープンイノベーションと呼ばれ、昨今流行りつつあるやり方のひとつ、と言う事もできそうです。

では、今後、企業がイノベーションを起こそうとした時に、どういうやり方が主流になっていくのだろうか、と考えたことがあります。

例えば、ポストイットで有名な3Mの場合、基本的にイノベーションは社内で起こす事を前提として考えられているようです。有名な15%ルールというのもありますし、事業責任者には事業の舵取りだけではなく、事業における新製品比率をコミットメントする必要があるようです。下記の記事を見てみますと、外部を巻き込む事はあっても、基本的に主導権は社外で持つ事を想定しているようです。

blogs.itmedia.co.jp

Googleなんかも20%ルールがありますし、そういったプロジェクトから生まれたプロダクトというのも色々とあります。しかしながらGoogle等のIT企業の場合はM&Aなどによってスタートアップを自社内に取り込むという事もやっている。

一方で、企業によっては3MやGogoleのように社内でイノベーションを起こす事が難しい企業というのもあるのだろうなと思う。ひとつはイノベーションを起こすための人材が居ないというパターン。

社内の様々な部署から優秀な人材を集めてきて、さぁお前ら新規事業の企画をやれ!っていうのはよくあるひとつのパターンである可能性はあるものの、彼らはそれまで全く違う仕事をやってきたわけで、いきなりそんなことを言われてもどうせいっていうねん。ってところが彼らの思うところじゃないかと思うのです。

3Mのよう場合は、各社員が日頃から職務として新しい事にチャレンジする風土というのがあるのだろうなと思います。ですから、それぞれ他に本業があると言っても決して新しい事を生み出す素人とも言い切れませんが、そういった会社がどれほどあるでしょうか。そういった場合、やはり社外の新規事業創出であったり、イノベーション創出のエキスパートに頼るのがひとつの手かなと思うのです。

仕事には4種類あると言われています。その4種類というのは、社内での発生頻度と、社外での発生頻度によって下記のように分類されます。

  1. 社内外で頻繁に発生する仕事
  2. 社内のみで頻繁に発生する仕事
  3. 社内ではめったに発生しないが、社会全体では頻繁に発生する仕事
  4. 社内でも社外でもめったに発生しない仕事

この内、社内で取り組むべき仕事はどれかという話。例えば1は経理処理などが該当するでしょうか。こういう場合は、外部にアウトソーシングする事で低コストで行える可能性もありますし、内製化することによって競争要因と出来る可能性もあります。2に関しては、その会社特有の業務だと思うので、外部に委託することも出来ませんし、出来たとしても高くつくでしょうから社内でやるのが普通では無いかと思います。3は例えばM&Aなどでしょうか。その会社に取っては初めての経験でも社会全体で見れば珍しい事ではありませんから社外のリソースを借りるのが真っ当であるように思えます。そして4はケースバイケースで社内か社外か、という事になるのかなと思います。

つまり、イノベーションという仕事は、世の中全体で多く行われているけれど、その企業にとってどの程度の頻度を持つかによって、社内で行うべきか、社外で行うべきかを判断する事も出来るのかな、と思うのです。