デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

ユーザが何を欲しいかはわからない

ユーザーが欲しいものは何か。これは新しい製品、サービスを作り上げる上で非常に重要な問題であって、これを明らかにせずにビジネスを行う事は大変難しい。だけれどその一方で、これを明らかにする事そのものが大変難しいのです。

例えば、スーパーやコンビニエンスストアでお客さんの様子を想像してみて欲しいのですが、お店に来たお客さんが何も買わずに帰っていった場合、彼らが何を欲しかったのか明らかにする術は私たちは持ちあわせて居ません。

お店に来たお客さんを観察していれば、何を買ったかはわかるけれども、何を買わなかったかや、買えなかったかについてはわからないためです。もちろんお客さんを捕まえてインタビューをする事は可能でしょうが、そもそも彼らが本当のことを答えてくれるという保証はありませんし、彼ら自信何が欲しいのかわからない事もそれなりにあるわけです。

ですので、お客さんのニーズを確認するための方法としては、実際にモノを作って、プロトタイピングのプロセスを回すしかありません。もちろんプロトタイピングにはラフなものだったとして時間やコストがかかりますので、片っ端から試すというわけにも行きません。ではどうするかというと、ユーザの行動だとか、インタビューだとか、その他諸々の情報から仮説を立てて判断していくしか無いわけです。もちろん自分自身が体験してみるというのもひとつの良い方法ですし、コデザインのプロセスを取り入れるのも良い方法かなと思います。

これら方法は色々あるにせよ、ここの精度を高める事ができれば手戻りも少なくなりますし、商品開発プロセス全体のコスト、期間を短縮出来るわけで、デザイナの腕の見せどころのひとつなのかなとも思うのです。

もちろん、直感的に、ユーザはこれが欲しいはずだと言えて、それが大当たりする人と言うのも多いのでしょうが、実際の企業活動の中では、まわりを説得しながら仕事をすすめる必要も多いですから、情報収集、分析、ストーリーテリングの各フェーズにおいて、アイディアが客観的であるかのように説明出来るスキルも重要なのかもしれません。