デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

デザインとお金の話

昨日に引き続き、ビジネスに関する授業を受けています。今日の授業内容は企業経営に関するお金の話。ようはデザインした製品を作るのにどれだけのお金が必要で、どういう売り方をすればどういう収益が得られるかとか、そういう話です。

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授業の中ではまず、今回のテーマとなる仮想の会社の簡単な説明があります。ひとつ目の会社はフリーミアムなビジネスモデルを採用するソフトウェアの会社でした。

教授がクラスに問いかけたのはまず、会社立ち上げ時にどういう人材が必要かという事。そうするとクラスの中から色々な意見が飛んできます。エンジニアが必要だとか、デザイナが必要だとか、そういう話ですね。マーケティングのひとが必要だって言う意見もありましたが、クラスの中でディスカッションを行った結果、立ち上げ時じゃなくても良いよねということで却下されていました。

結局、立ち上げ時に必要なのは下記のように、デザイナひとりとエンジニアが3人なんじゃないかということでクラスがまとまります。社長(ファウンダ)がデザイナという前提ですね、ちなみに。エンジニア一人4500ユーロ/月額という計算でした。これはフランスで起業する前提で話をしていたのですが、フランスに限らず、ヨーロッパでは安くてもだいたいこれぐらいらしいです。転職したくなりました。

  • President / Lead Designer
  • Lead Engineer
  • Engineer / Security
  • Engineer / Front End

さて、その後の話も当然していくわけですが、製品開発が軌道に乗ってきた時に、次のような順序で増やしていくのが良いのではという議論の流れになっていました。

  • Lead Marketing
  • Designer / UX
  • Marketing
  • Business Development

ちなみに会社立ち上げから1年間で必要な人件費は334,650ユーロという事で、日本円にして約4000万円でした。このあたりは、おそらく会社の性質にもよるだろうし、色々意見が別れる気もするのですが、議論していて結構面白いなぁと感じたりします。

そしてその後、人件費以外に何が必要か、どれぐらいの費用がかかるかというところに話が進んでいきます。とりあえず出てきた項目を上げると下記のような感じ。

  • Rent and utilities
  • Office equipment
  • Office furniture
  • Office supplies
  • Travel and entertainment
  • Software licensing
  • Hosting
  • Office meals 🍌
  • Insurance
  • Legal
  • Marketing and events 🎉
  • Maintenance Accounting

こちらはおおよそ1年間で281,440ユーロと言うことで、だいたい3500万円でしょうか。もちろん、色々と節約する手段はあるのでしょうけれど、人件費以外にも結構掛かる事がわかります。

という事で会社を立ち上げて諸々必要な費用を見積もって見ると1年間で約7500万円かかる事がわかります。月額だと600万ちょいでしょうか。

そして次に、収入の計算を行って行きますが、フリーミアムなビジネスモデルであれば比較的わかりやすいですね。Webサイトへの訪問者が何人いて、そのうち何%の人が会員登録をして、何%の人がプレミアム会員になってくれるかを計算していけば良いわけです。

しかし、Webサイトへの訪問者が10万人で、そのうち1%が会員登録してくれて、さらにそのうち1%がプレミアム登録してくれれば、みたいに最初は呑気に計算していくわけです例えば、プレミアム会員の月額費用が1000円だとしたら、6000人のプレミアム会員が必要なわけで、60万人の新規訪問があればいいね、とか。が、この段階でやっと気がつくわけですね。結構大変だぞ、これ、と(笑)

これはフリーミアムなビジネスモデルを採用した会社の話でしたが、この後、業種だとかビジネスモデルを変えながら、幾つかのビジネスに対して見積もりを行いつつ、議論を行っていました。

もちろん、授業の中で行った一連の計算というのは、めちゃくちゃざっくりした初歩の初歩的な計算ではあるものの、こういう風にして会社の経営に必要な支出だとか想定収入を見積もってビジネスとして成立思想かどうかあたりをつける事が重要であるという事。そしてこういう単純なシミュレーションであっても、学生によって色々な意見がでてきて非常に面白いなぁと思ったりするのでした。もっとも、学生の中には社会人経験がある人も少なくないし、私のようにこういった計算をやってる人も居るはずなので、彼らにとっては少し退屈なのではという気もしなくは無いのですが。