デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

デザイナは魔法を使ってはいけない

教授と話をしていた時に言われた事があります。それは「デザイナは魔法(Magic)を使ってはいけない。魔法を使わないと出来ない事はやっちゃダメなんだ。」と。

デザインスクールというところは、色々なバックグラウンドの人が集まっているちょっと特殊な環境でもあります。私のようにエンジニアリングがバックグラウンドの人も居れば、グラフィックデザインがバックグラウンドの人も居ますし、ビジネス寄りのバックグラウンドの人も多く居ます。

このようにバックグラウンドが様々なわけですから、人それぞれ出来る事に違いもあります。エンジニアリングやデザイン出身の人は、マーケティングだとか、ビジネスモデル構築についてはほとんどわからないし、ビジネスやデザイン出身の人は、エンジニアリングについてはほとんどわからない。そしてエンジニアリングやビジネス出身の人に取っては、グラフィックなどデザイン分野のことについてはほとんど素人なわけです。

理想としては、それぞれの専門知識を活かして、プロジェクトに貢献していく事なのでしょうが、実際のプロジェクトというのはそこまでそれぞれが貢献出来るかというとそうでも無いんですよね。例えば、アイディア出しの段階から、ペーパープロトタイピングを行うぐらいであれば、そこまで専門性を求められませんからチームで作業出来るわけですが、実際にプログラミングを行って動くでもを作ろうとなった場合だとか、AfterEffectを用いて動画を編集しようとなった場合などには、やはりそれなりのスキルがないと何も手出し出来なくなってしまうんですよね。

以前友達と話をした時に、こんな事を言われました「私は今とてもストレスフルだ。今のプロジェクトではプログラミングが必須だけれど、私は本当に基礎の基礎しか出来ない。チームに貢献出来ている気が全くしない。デザイナとしてやっていくためには、デザイン、エンジニアリング、ビジネスに精通していなくてはならないのだろうか?」

この問題は非常に難しい。もちろん各分野に精通している事が理想だろうけれど、それはどの程度のレベルが必要なのだろうか?という話です。私自身、これに対して明確な回答を持ちあわせて居るわけではないのですが冒頭にあげた教授の言葉がヒントになるのかなと思うのです。

つまり、実現可能なラインを見極めるための知識や経験が必要だという事。そのためには、プログラミングでどういう事が可能になるのか、ビジネスの仕組みがどうなっているのか、映像編集でどのような事が可能なのか、そしてそれらがどれ位難しくてどれ位時間がかかるかを推定出来る必要が有るのではないかと思うのです。これは、浅く広くでも各分野を経験しておく事である程度見えてくるのかなと思うのです。

そしてもうひとつは、デザイナの役割についての話。

ddcph.hatenablog.com

上記の記事で、デザイナの役割は下記の3つに大別されると書きました。

  • Opportunity Scout
  • Storyteller
  • Executor

このうち各分野の専門知識が一番必要になるのはExecutorの部分かなと思うんですよね。特に、一人プロジェクトの場合は、すべてを自分でやらなければならないため、各分野について深い知識が必要となります。

しかし、現実問題として一人で最後までプロジェクトってあるんだろうか?

もちろん、最後まで何らかの形で関わるというのは多いにあるのでしょうが、Executeする段階でリソースを増やすものじゃないのかな、と。そうなった場合にデザイナがプロジェクトに関わりかたとしては、おそらくプロジェクトの方向性を決めたり、マネジメントをすることになる場合が多いのではないかなと思うんですね。その場合に、チームにどういった仕事があって、どういった能力が必要でという事を判断する場合に浅く広くだったとしても各分野の知識が必要になってくるのかなと、とはいえ、具体的にデザイナの仕事を書かないとナンノコッチャとなりそうなのでそれについてはいずれかけたら良いなと思うのですが。