読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学の日々について書いています

ボトムを支えるのではなく、トップをもっと引き上げる

こちらに来てから何度か感じている事のひとつが、こちらではボトムを支えて底上げするのではなく、トップをもっと伸ばすためにリソースを割く傾向があるな、ということ。

トップを引き上げる授業

例えば、下記のブログ記事にも書いたのですが先週は授業の中で動画作りをする機会がありました。

ddcph.hatenablog.com

動画作りを授業でやるからには、動画制作ソフトの使い方だとか、動画の基本だとかを講義の中で扱うのかなーと思って居ました。ところが、動画の編集に関する説明は一切無しで、その編集方針だとか、良いストーリーを作るための説明のみがなされる。

これまで動画を扱った事が殆ど無く、今回が動画編集が初めてって人も結構いるはずなのに、みんなそれがさも当たり前だとでも言わんばかりに、各自がそれぞれPremiere Proだとか、iMovieだとかを使って、苦労しつつも自分達で動画を編集していました。

学校の方針なのか教授の方針なのか、それともヨーロッパ、海外がそういう文化なのかはわかりませんが、出来ない人ではなく、出来る人に合わせて授業を進め、あとは学生同士で助け合うなり、出来ない人は頑張って勉強するなりしなさいと言う雰囲気が出ていて、とても新鮮な印象を受けました。

弱者を救済するより、将来の強者(になるかもしれない芽)を支援する

これは、北欧界隈の産業においても似たような事を言えるような気がします。北欧の企業で有名なところと言うと例えば、フィンランドのNOKIAが挙げられるでしょうか。

フィンランドにとってNOKIAは一時は国全体のGDPの2割を占めるとされた程の大企業です。日本の代表的な企業であるトヨタでも5%程度、関連企業を含めても10%程度と言われているので、NOKIAの存在感の大きさがわかるかと思います。

そんなNOKIAが数年前に経営危機に陥ったのはご存知の通り。

matome.naver.jp

だけれど、下記の記事にもあるように、フィンランド政府はNOKIAに対してほとんど支援を行っていません。

wedge.ismedia.jp

そして代わりに、新しい企業に対して積極的な支援をしています。

www.itmedia.co.jp

例えば上記の記事で紹介されているのはAalto大学なのですが、イノベーションを創出するために創られたと言っても良い大学で、ミッションステートメントとして「アアルト大学のミッションは、より良い世界と強いフィンランドを作ることだ。」としっかり述べられています。

markezine.jp

このような傾向は、フィンランドに限らずデンマークやスウェーデン、ノルウェーなど、北欧諸国に共通して見られます。イノベーションを継続的に生み出し産業の新陳代謝を積極的に促す事で、雇用を創出しようと言う考え方なんですね。

つまりこれは、衰退産業に投資して雇用を守るよりも、これから伸びる可能性のある産業に投資して雇用を創出するほうが、国全体で見た時に中長期的なコストパフォーマンスが高くなると考えていると言う事でもあるのでしょう。また、北欧諸国は人材流動性が比較的高いということも特徴で有るため、こういった政策が受け入れられていると見る事も出来そうです。

ボトムを支えるのが日本流?

日本では逆に、政府が積極的に弱者を救済している印象があります。人材流動化が進んでいないという事情もあるのかもしれませんが、シャープ、ジャパンディスプレイ、エルピーダなど、例を上げればキリがありません。

シャープはこれからどうなるのかまだ未知数ですが、ジャパンディスプレイに関しては成功と言っても差し支えのない例かもしれませんし、エルピーダはマイクロンに買収されてしまったものの、単独で営業利益を出せるレベルであるようです。もっとも、いずれの会社も高いコアコンピタンスは持ちあわせていたはずであって、それを活かしきれて居なかっただけと言う事情も無くは無いのかも知れませんが。

いずれにせよ、ボトムの支えるのと、トップを引き上げるののどちらが良いかの議論をするなら、成果が出た出なかったの成否ではなく(というよりも支援をするのだから成果が出る事を期待するのは当たり前であって)上述した企業支援に割いたリソースと同等のリソースを新規産業育成に回した際の成果と比較してどっちが良かった期待出来るかを議論すべきなのかなーと思わなくもありません。