デザインダイアローグコペンハーゲン

デンマークのコペンハーゲンでのデザイン留学を通して考えたこと

食べ放題レストランが盛んな街の背景

コペンハーゲン市内を歩くと食べ放題レストランが溢れています。ちょっと街中を歩いただけで、下記のような看板をいくらでも見つける事が出来ます。

ところで、日本では食べ放題のことをバイキングと呼びます。このバイキングとはもちろん、1000年前に北欧で活躍していた海賊である「バイキング」から取ったものであり、彼らの食事が現代の食べ放題形式と似ているからだとか言われています。

海賊バイキングのお膝元であるデンマークで食べ放題が盛んなのは、そういった歴史的経緯があるからだと考えれば自然な事のように見えます。しかしながらこちらで毎日を過ごすうちに、デンマークに食べ放題レストランが多いのは、実は他の理由があるのではないかと思ったのです。

というのも、一般のレストランやファーストフード店と、食べ放題レストランの値段が明らかに逆転しているのです。例えば、コペンハーゲンにあるマクドナルドでハンバーガーのセットを注文すると50DKK、ビッグマックセットだと57DKKです。バーガーキングだとワッパーのセットが65DKKになります。

そしてイタリアンのお店などに入ってパスタなどを注文すると100DKK前後、ケバブのお店だと90DKK程度が相場でしょうか。ちなみに先日食べたラーメン店も90DKKでした。ところが、食べ放題のお店の場合、70DKKから90DKKが相場なのです。一般のレストランに行くよりも、食べ放題のお店に行くほうが安いのです。

日本の状況と比べて見ましょう。日本で食べ放題のお店、と言ってもそんなに思いつきませんが、例えば自然食をウリにしている「はーべすと」だと、ランチで1600円程度、ビタースイーツビュッフェや串家物語だと2000円を超えます。逆にハンバーガーは500円から800円程度、大戸屋や餃子の王将で定食を頼んでも1000円程度でしょうか。つまり一食あたりの値段で考えた場合、日本では普通にレストランで食事をするよりも、食べ放題に行ったほうが高くつくのです。

デンマークでは食べ放題レストランの方が安い、日本では食べ放題レストランの方が高い。この違いは、どこから来るのでしょうか。これはレストランの原価を考えると推測出来るのかなと思っています。レストランの原価のうち大部分を占めるのは、場所代、人件費、材料費あたりでしょうか。場所代は場所次第と言うのが実情だと思うので、人件費と材料費について考えて見ると、まずデンマークの人件費は滅茶苦茶高いのです。最低賃金は約2000円。日本だと1000円未満のところが多いと思うので2倍以上の差があります。一方で食材に関して、デンマークではジャガイモが5kgで100円など、日本よりも安いのでは?と思えるような値段設定が多く見受けられます。

つまり、日本では人件費より材料費が原価にしめる割合が高いため、食べ放題の店の値段設定が高くなっているが、デンマークでは材料費よりも人件費が原価にしめる割合が高いため、人件費を抑える事が出来る食べ放題レストランの価格がリーズナブルなものとなっている。と考える事もできそうです。